岡田拓朗

逃げるは恥だが役に立つの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

逃げるは恥だが役に立つ(2016年製作のドラマ)
4.5
それぞれのストーリーが本当に素敵で愛おしすぎた。

■設定
まずは、何と言ってもそれぞれのストーリーの設定。
「契約結婚」、「歳の差」、「同性愛」、「夫婦」、「離婚」、「独り身」
これがドラマで共存していることの感動。
さらに契約結婚に至っては、逃げ恥を機に、本当に実現しそうな気もしている。
初めは、やや入り込めないかと思いきや、全然そんなこともなく、一話からどんどん感情移入していけた。

■タイトルと内容の関連性
「逃げるは恥だが役に立つ」
このドラマは本当にこのタイトルに終始しているなと思った。
・純粋に「逃げる」ことは、その場をやりくりするのに、役に立つ
・ことわざの意味としては、「自分の戦う場所を選べ」
前者は、それぞれが目を背けたいことから、逃げることでその場をやりくりできていた。
でもそれでは、前に進めないことから、それぞれが「自分の戦う場所」を選んでいた。
平匡であれば、スペックと奢らないことから来る謙虚さと優しさ。
みくりであれば、計算高い行動と妄想。
自分では、コンプレックスであると思っていることこそが、自分の戦うための武器になるんだなと。
タイトルと内容が一貫していておもしろかった。

■社会派ラブコメ
ただの恋愛ドラマでなく、節々に社会的な問題や共感を入れ込んでいた。
特に、「やりがいの搾取」や「好きの搾取」は、「会社と社員の関係」や「恋愛関係や対人関係」で起こってることで、本当に上手に言葉にしてるなと納得したものです。

■それぞれのストーリーと全ての伏線の回収
やはり見所は何といってもそれぞれのストーリーと完璧なまでの伏線の回収だと思います。
特に中心となった以下の2組は、全然違うけどこの2人だから繋がったんだなと。
・平匡とみくり
契約結婚から始まり、だんだんとお互いのことが好きになっていく。
みくりが、何度も気持ちを確かめようとするが、平匡の自己肯定感の低さにより、みくり自身の気持ちを汲み取ることがなかなかできない。
そこにみくりが嫌気をさすものの、そんな平匡を受け入れ続けた。これこそがみくりから平匡への愛。
最終回で、契約結婚からお金での関係じゃなくなった共同生活の中で、平匡が本当のみくり(みくりの嫌な一面)を見ることになる。
お金の付き合いがない共同生活を行うことは、お互いのそういった一面も受け入れないといけないことと知り、平匡もみくりをしっかりと受け入れる。
そして、最終的に契約結婚から夫婦、1人をお互いで超えていく。

・風見さんとゆりさん
この2人が本当に大人だなと、ずっと見ていて思っていました。
何だか、自分の理想の恋愛ってこんな感じかもしれない。笑
風見さんがゆりさんのことをちゃんと見ている。
初めからお互いが惹かれあっていたわけじゃなかった。
それでも関わり合うことで、徐々にお互いの魅力にお互いが気づき始める。
風見さんはイケメンであることから、付き合っていた相手に勝手に劣等感を持たれることが多く、苦労していた。
ゆりさんはいつも堂々としていて、自信に満ち溢れているし、大人だし、何よりも人生を自分で充実させている。
風見さんはそんなゆりさんの中身までしっかり見て魅力にちゃんと気づいて惚れた。
ゆりさんは最初、イケメンであることの固定観念で茶化されていると感じていたが、最後にはそこまで見てくれていた本気の愛をしっかりと受け入れた。
好きなのに、自分と向き合ってくれているのに、年齢を理由に目を背けるのはよくない。
2人が大人だからこそ実った恋愛で、本当に素敵だなと思いました。
ゆりさんみたいな女性、俄然タイプです。笑
一緒に仕事の話がしたいです。
その他、それぞれの伏線が最後に回収されていて、結果みんながそれぞれの道を幸せに生きている描写を見れて、心がすごく洗われました。
最終回が本当に素晴らしかったです。
それ以外にも、このドラマには性格は違えど、それぞれがそれぞれのことを尊敬し合ってて共存してるのがとても素敵で、悪者もいなかったので、終始幸せの余韻に浸れた。
様々なコンプレックスを持つ人たちにも勇気を与えた作品なんじゃないかと思う。
変わるべきことを変え、でも自分らしさを捨てないことで、分かり合えて、幸せを掴み取れるんだなとすごく感慨深くなったドラマ。
本当によいドラマで、とても楽しめました!
岡田拓朗

岡田拓朗