ふかい

日曜日は終わらないのふかいのレビュー・感想・評価

日曜日は終わらない(1999年製作のドラマ)
5.0
噂に違わぬ大傑作。
90年代日本映画でよく描かれていた、性の匂いが減退(セックスの希少価値が下がったことが一因?)した無感情の日常の中で突発的に起きる暴力という面では一つの究極形ではないか。宮台真司が「90年代日本映画で最高の一本」と評したのも頷ける。
青山真治「Hopeless」、黒沢清「ニンゲン合格」「アカルイミライ」に通じるオブビート感と残酷性。大杉漣のコメディリリーフ的な起用方法は「地獄の警備員」などの黒沢清初期作、目出し帽のユニークな使い方は「大いなる幻影」でも出てくるもの。身を投じるラスト(厳密にはラストでは無いが)は「神田川淫乱戦争」。
工場地帯を自転車で駆け抜けるショットは「ユリイカ」っぽいし、全体のテイストは後の山下敦弘監督作品にも近いともいえる。
近すぎる飛行機や、わずか数十秒1カットでスムースに日中→夕方に移行していくシーン、中華屋で画面が引いていくとさっきまで誰も(主人公とさちこさん以外)居なかったはずの店内がごった返していて、奥の方では上半身裸に奇妙な帽子を被った男性二人が席につこうとしている…といった印象深いショットがたくさん。
林由美香の配役によってこの映画における刹那性が極まっている。「月光の囁き」に続き水橋研二の童貞感満載の演技も最高。
映画の規模に見合わないレベルの観客達に囲まれながら、「(風呂入って)いいすか、」と「さちこで〜す」で巻き起こる爆笑。世界一幸せな空間だと思った。
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