山田太一脚本のドラマは数々見てきたはずなのに、なんでこの「岸辺のアルバム」が抜けてたんだろう。でも今見るべき作品だったのかもな、なんて思いながら見た。
とにかく傑作。いままで見た全てのドラマをひっくるめても3本の指に入る。全ての映画を含めた映像作品で考えても10本の指に入るかもしれない。
感情や心情という画面には映らないものをセリフや言葉で説明していくのではなく、川の表情、アルバム、そして家自体という具体に落とし込んでいく。それ自体はすぐれた映画やドラマなら当たり前のようにやっていることなんだけど、ここまでシンプルに、しかも大胆にやって成功した事例があっただろうか。
現在につながる社会的な問題意識ともかなり繋がっていたり、語るべきポイントはたくさんあると思うけど、作品の力に圧倒されてしまってなんだかいま語る気にならない。とにかく折に触れ思い出すだろうマスターピース。見て良かった。