Cisaraghi

梨泰院クラスのCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

梨泰院クラス(2020年製作のドラマ)
-

このレビューはネタバレを含みます

梨泰院にたむろする軽くてチャラい大学生たちの恋愛話がメインのフワフワした話だろうと勝手に決めつけていたら、とーんでもない!全く違う、激しくて容赦ない韓国らしい話で、初回いきなりガツンとやられた。

パクソジュン演じるセロイは、素朴なイケメンでガタイがよくて飾り気がなくて鈍感で超真っ直ぐで自然体で、言葉数は多くないけど大事なことはちゃんと言葉にして伝える率直さがあって、冷笑的なところや皮肉っぽさは皆無、温かくて優しくて肉体的にも精神的にも強靭で誰からも信頼される磐石の安定漢。『愛の不時着』のヒョンビン演じるジョンヒョクも似たタイプだけど、韓国のイイ男のひとつの典型なのかな?でも、超エリート層のジョンヒョクに対し、父の死亡保険金以外何ひとつ持たないセロイ、超逆境にめげることもなくいじけることもなく、自分の力と信念だけを頼んでそこから平然と(のように見える)前に進み続けるセロイの強さは超人的で驚異的。
 復讐ものにしては、パクソジュンの顔に憎しみや憤怒のような激しいマイナスの感情があまり表れていないのがよかった。そういうのはどうしたって人の顔を険しく醜くするから。生きる目的が復讐というワリに呑気そうな顔がいい。真正面ドアップにビクともせず耐えるイガグリ。実にいい顔してます。しかし、よく見るとすごいジャケ写真。湿布!

すっごく面白くて一気見してしまったが、急に4年が経過し、突然大会社になってからは、商売をいかに成功させるかというスリルはなくなり、敵も勝手に弱ってしまってトーンダウン。どちらかと言えばスアじゃなくてイソとくっ付く展開を望んではいたけど(多分、美人とくっ付くだけじゃ意外性なくてドラマとしてつまらない、という理由)、恋愛ドラマが主になってしまったのは少々残念。パクソジュンのデレッとした笑顔可愛いけど。しかし、スアを長家から解放すると宣言したのは何だったんだ?復讐が終わったら幸せになると言っていたあの言葉は?自らは動かず助けられるのを待ってるだけの女、というイソの指摘はあの時点では確かに当たっていたにしても、スアの扱いが雑。最後、お店を持ったのはいいけれど、とりあえずイケメンを宛がっておけばいいだろ的な安易な終わらせ方もどーなのか…。
 あと、トニーの扱いが問題。明らかに影が薄くキャラもチーム内での役割もちゃんと描かれていない。仲間とか言いながら完全に添え物。外国人担当と問答無用で決めつけるのも乱暴だし、僕は韓国人です、と何度も言っているのに、イソがその度にそれを全否定するのも心無く、このドラマ自体がトニーを「外人」として扱っているように感じた。同じマイノリティでもヒョヌには力を入れて描いていただけに残念、と見過ごせないツッコミどころはあったが、その他は概ね文句なく面白かった。

そして、最後まで誰も死なくてよかった。セロイに同行するスングォンにフラグが立っているようで心配した。長家の長男グンウォンは、あまりに可哀想で何らかの救済が用意されているのかと思ったが、ダークサイドに落ちて行く一方で、あの調子ではムショから出てきたらまた何かしでかすのでは?と心配…。

パクソジュン君、とてもいいものを持っていて、彼の個性なくしてはこのセロイというキャラクターのユニークな魅力は生まれなかったと思う。そして、声がすごくいい。(大声で怒鳴るのは是非止めて欲しいが。)これからの活躍が楽しみ。推す。

イソについては、何とも言い難い。保留。トニーに対する言いっ放しの差別的な発言はどうしても引っ掛かるし、グンスに対してもあれは言い逃れに聞こえる。とりあえずキムダミの『The Witch/ 魔女』は観なければ、と思う。
Cisaraghi

Cisaraghi