manami

火の魚のmanamiのレビュー・感想・評価

火の魚(2009年製作のドラマ)
-
『エルピス』『カーネーション』の渡辺あや脚本、2009年の単発ドラマ。原作は室生犀星。
頑固者で人嫌いの小説家と、若い編集者との交流をメインに描く。交流とは言っても、小説家・村田から編集者・折見へのモラハラばかりで、なかなかにイライラさせられる。
彼女にだけでなく、町の人々にも横柄な態度で接する彼は、今流行りのワードを使えば「不適切のかたまり」のような人間だ。新刊タイトルから察するに、室生犀星自身がモデルなのだろうか。
そんな偏屈ジーサンに蔑まれ罵られ、とんでもないことをさせられながらも、なぜか尊敬の念が消えないらしい折見。何なの、変態なの?言葉遣いがバカ丁寧なのも、段々気味悪くなってくる。
全体的には命をテーマとしてることはもちろん分かる。ただ、とにかく二人の関係性があまりにも一方的なので、入り込めない。
たとえば「庭師として、また甥っ子として、村田の家をよく訪れる青年」とか、「村田のことを怖がらず、また村田も町で唯一まともに会話する相手である、近所の中学生」とか、ニュートラルな存在を一人投入するというのはどうだろう?そういう緩衝材のような人物が一人いれば、もっとマイルドに味わうことができるのになんて思ったり。
manami

manami