みてべいびー

愛の不時着のみてべいびーのネタバレレビュー・内容・結末

愛の不時着(2019年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「将来のことは考えない、考えてた将来と違ったら悲しくなるから。」
「インドではこう言う、間違った電車が時には目的地に運ぶ。思い通りに行かなくても将来を考えてみて。私は私が去ったあとも、あなたには幸せでいてほしい。どんな電車に乗っても、必ず目的地に着いてほしい。」
まっさらな状態でこのドラマをこれから初めて観れる人が羨ましい、そう思わせるほどの作品。もはや韓国ドラマというジャンルに収まりきらないくらいの普遍的傑作だと思う。韓国ドラマは小さい頃から度々観てたけど、予測不能というか大袈裟というか観てて疲れちゃうのが多くて最近は全く観てなかった。正直これを観始めるまで何度も迷った、でもこれ以上に観てよかったと思えるドラマは今後そうそう出てこないだろうな。自分の恋愛観までをも変えられた気がする。
政治的制約があるってだけで恋愛はここまでスリルと切なさが生まれるのかぁ、って毎回切実に感じてた。私は断然4話から9話が好きで、北朝鮮という究極に閉鎖的かつ常に監視されているような場所で、日ごと想いを募らせていく二人のつかず離れずな関係性が一番切なかった。貝食べながらお互いを盗み見る二人の眼差しが好き、どんな言葉よりスキンシップより重みがあって。特に6話のジョンヒョクの家の門前で握手する場面で初めて号泣した。もうハグしなよ!とかって簡単に無責任に言ってはいけないような二人の絶妙な距離感。握手した瞬間すごく固くセリの手を握りしめるジョンヒョクに巻き戻すたび泣かされた。12話のお酒飲み交わしながら、ジョンヒョクが本音を話すところも好き。
「酔ったわ、もう永遠に醒めないかも。」
「見てみたい、君に白髪が生えてシワもできて老いてゆく姿を。きれいだろうな。」
こんなこと言われたら幸せだろうな。9話の軍事境界線越える場面ももちろん好きだけど、16話のセリが走り出してからはもう涙止まらなかった。
「もう会えないの?二度と会えない?一生?どうしよう、会いたくてたまらなくなったら」
「会いたいと心から願えば、会いたい人に会えるかと聞いたろ?きっと会える。サランハオ」
「サランヘヨ、サランへ」
こんなストレートな台詞が文字面以上の重さを持っていて、その深みを与える主演二人の演技力がすごい。現実なら本当にここで一生会えないんだろうなとか考えるとさらに泣ける。全体を通して二人の涙が美しすぎる。素直に涙を流すジョンヒョクが綺麗で大好きだった、優しさは強さなんだって実感させてくれた。セリの鋭さにタジタジな奥手さも、ここぞという時には真っ直ぐ想いを伝える真摯さも全て好き。推しはリジョンヒョク、魅力がやばい!!
「会いたいと願わなければ、生きていけないから。」
38号線に隔たれたあと、12時半から13時まで散歩するところとか、会えなくても会えることを信じて前向きに生きている二人が希望をくれる。同じ空の下で同じ言葉を話し同じ想いを抱いていても、会えない。こんな悲しいことないと思った。でもここまで生きていたい!と思わせてくれる人に出会えた二人が羨ましいとも思った。
他にも人生のお手本になるような人がたくさん出てくる。ソダンのお母さん、パラサイトのママじゃん!って何となく観てたけど、最終的に彼女みたいに子供の幸せを純粋に願う親になりたいと思った。クスンジュンが「ダンさんはきれいだ」って言う場面も、彼の真っ直ぐさが見えて好き。第五中隊は言うまでもなく大好き。一人一人素直でかわいくて、13話でピョチスが泣くところでは不覚にも泣いた。耳野郎が最後幸せそうで嬉しかった、彼に一番向いてる仕事だと思う。
「愛とは何だろうと考えてみる。私があなたに会いたいと願ってるように、あなたにも願ってほしいと思ったならーそれが愛だろうか。あるいは私に会いたいなんて気持ちが湧かないほど、幸せになってほしいと願ったならーそれが愛だろうか。それともあなたに会うためなら、あの出来事を最初からもう一度繰り返してもかまわないと思えたらーそれが愛だろうか。」
なんだろう、つかの間の恋なのにこんなにも鮮烈で、それが一生懸けて続く愛に変わる瞬間を16話通して目撃した感じ。運命を信じたくなるし、二人がお互いを愛し愛されるように、自分も人生かけてそんな人を見つけてみたいと思った。自分にそこまで思わせてくれる作品に出会ったことなくて、ありがとうの気持ちでいっぱい。きっとこれからも何度も何度もみなおす。
みてべいびー

みてべいびー