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アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋のfonske0114のレビュー・感想・評価

4.5
病院薬剤師にフォーカスし、患者と治療に向け邁進する薬剤師の話。

毎回異なる患者と接する一話完結型が基本のため、様々な角度から作品を楽しんだ。特にエンディングで患者のその後が描かれる演出は毎回グッとくるものがあり、「本編とエンディング」で一度に二度楽しめた。


以下ネタバレ感想を。


このドラマの良かった点は、まず「患者目線が多かったこと」「基本的に一話完結型」にある。

毎回オープニングで語られるように、「その人たちの日常がある」という部分が話の中で強調されているため、患者自身にもこちらが入り込みやすい。

患者の心情を非常に丁寧に描いているため、患者が毎回主人公で、薬剤師たちがサポート役に徹していたのが良かった。

本編で患者に入り込めるため、エンディングで「患者のその後」が出てくると感動が生まれ、本編で泣いてエンディングで泣いたりもした。
(特に渡辺真起子の政治家と穂志もえかの白血病患者の回がよかった。)

病院側の都合ではなく「患者とどう折り合いをつけ最善をさがすか」という過程が丁寧なため、病院や病気ということもあり、面白かったが毎回見入って体力を使った。
(リアルタイムの木曜日10時には濃厚さもあり重かったのでは。)

今作のような病院や刑事ものは「一話完結」というのも連ドラの中で個人的には重要な要素である。というのも途中から仕事ぶりというよりは身内の話になるパターンが多く、「もっと仕事ぶりを見せてくれよ!」と思うことが多いからである。
(例えば同クールの『MIU404』はもっと機捜の仕事を見たかったが早々とクライマックスに向かってしまった。)

今回は最終回まで「薬剤師の仕事」で魅せてくれ、話が毎回安定し、最終回もエンディング前まで産科にいたという点で葵みどりの軸がぶれなかった。

リアルとは違う点はあるだろうが、「一人一人の病気に向かい合う」、「薬剤師の仕事」というものを垣間見るには十分だったと思う。

ただ個人的には西野七瀬の棒演技がひどく、更に意味不明の突然の関西弁(関西出身らしいがこちらでも話し方が堅い)は気になりっぱなしだった。

当初は新人を通じて視聴者への状況説明の役割もあるのかと思いきや、途中からは「いなくても話が成立するのでは...?」と思った。

桜井ユキと真矢ミキがとても良かった。
個人的には映画『少女邂逅』で良かった穂志もえかにまさかの連ドラで出会え、嬉しかった。
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