サンタフェ

ホイール・オブ・タイムのサンタフェのレビュー・感想・評価

ホイール・オブ・タイム(2021年製作のドラマ)
3.6
Amazonが本腰を入れて送り込んできた超大作。

歴代のファンタジー大作と比較されるであろう今作ですが、ファンタジーの世界にビジュアルだけではなく観念的にもアジアをうまく取り込んだことは個人的には大きな称賛に値すると感じました。

ロード・オブ・ザ・リングは古典的な中世ヨーロッパ世界観であり、ゲーム・オブ・スローンズはその世界を北アフリカを含む地中海全体へと拡張した印象でしたが、ホイールオブタイムはそれをアジアまで拡張しました。東洋ファンタジーではなくファンタジーの世界にアジアが存在しており、ファンタジーというジャンルにおいて一つ時代を進めた節目の作品なりえると感じました。

原作の壮大なスケールを感じる物語と世界観の拡張は大きな魅力の一方で、映像・演出・ビジュアルが終始インパクトに欠ける印象だったのが残念でした。原作の素晴らしさが伝わってくるだけにシーズン中何度も「HBOもしくはNetflixが制作していれば…」と感じてしまいました(制作そのものはAmazonスタジオとソニー・ピクチャーズ・テレビジョンの共同製作らしいので必ずしもAmazonに全て責任があるとは言えないでしょうが)。

この映像のイモっぽさを最も感じたのが最終話で、壮大な合戦と全てが収束していくクライマックスに映像と演出が追いついていなかったように思えます。闇の勢力に対する籠城戦というシチュエーションゆえに否が応でもLotR二つの塔が頭にチラつきながら観ていましたが、城壁の攻防戦も平地の魔法のどちらも2002年の作品に遠く及ばず。同じく海外ドラマであればGoTやヴァイキングといった作品レベルの合戦を期待していましたが叶いませんでした。

シーズン全体としてはして応援したい気持ちはありつつ、シーズン2には映像と演出面の改善を期待したいですね…。

アマゾンプライムは指輪シリーズのドラマ化も控えており、少々そちらが心配になる出来でした。
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