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東京男子図鑑のseaのレビュー・感想・評価

東京男子図鑑(2020年製作のドラマ)
3.8
いや〜面白かった!途中まで一人でご飯を食べるときに惰性で観ていたけど、なんだか八話くらいから引き込まれて最終回でグッと心掴まれてしまった。最終回が特段良かったとかではなく、ここまで翔太の人生を見てきたからこそ、それを引っくるめて。私は東京生まれ東京育ちだけど、東京は不思議な場所だなと思う。各話の感想で、登場人物一人一人にコメントを書いたけど、ここも長文になると思う。ネタバレあり。

私はそこまで翔太のことを嫌なやつだと思わなかったな。女たらしだし、出世のために嫌なことを言うようなやつだったけど、あんな長い何十年という単位で人の人生を見たら、誰しもあんなものだと思う。色々な人から見る翔太の印象が語られていて、とても興味深かった。

割と印象に残ったというか、イメージが変わったのは同窓会の話。翔太は昔からみんなの輪の中心だったと思っていたけれど、イメージと違い、佑佳子が語る翔太はみんなの輪から少し外れるようなタイプだった。だからこそ努力して、先輩にも愛想良く、悪く言えば八方美人みたいなことをしていたのかなと、勝手に同情してしまった。でもきっと翔太は同情なんかされたくないだろうし、変わりたかったからこそ佑佳子の「私たちはこっち側で生きていくんだね」という言葉が嫌だったんだと勝手に思った。

転職して友達の会社に入って、なんだかんだ苦労しながら努力して、人間らしいなと思った。場の雰囲気を壊さないように笑顔でその場を取り繕っていた翔太は大人だなと思ったし、本当に人それぞれに役割があるんだろうなと思えた。だからこそ社長のあの態度は悲しかったし、翔太が可哀想だと初めて思った。ライブ配信に翔太が書き込んだ「俺は軽い気持ちで東京で生きてるよ」というコメントは、きっとそう自分に言い聞かせて生きてきたんだろうし、「気付いたんだよね。俺東京で軽い気持ちで生きるために必死に努力してたんだなって」という言葉には、翔太のこれまでの年月が詰まっている気がした。結局それとなくこなしているように見える人でもこういう葛藤があるわけで。なんだかとてもグッときた。夢なんかなくたっていいし、自分にしかできない仕事はある人とない人がいると思う。結局人生は希望と絶望の繰り返しで、妥協も必要で。そういうことを感じるドラマだったけど、なんだか前向きな気持ちになれた。私は今は職場が東京で住んでいるのは神奈川だけど(まだぺえぺえで給料が少ないので…)、なんだかいつか東京で一人暮らしするぞ、という気持ちになった。嫌なところも良いところも全部引っくるめて東京だし、その人だし、人生だななんて思った。ありがとう。
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