Uえい

リプリーのUえいのレビュー・感想・評価

リプリー(2024年製作のドラマ)
4.0
タイトルからもしやと思っていたが「太陽がいっぱい」のリメイク(原作の再々映画化)だった。トムがディッキーと出会う前から描かれていたのと、イタリアの美しい風景がモノトーンで描かれていて全く違う楽しみ方ができた。

監督のスティーブン・ザイリアンは脚本家として活躍していて、彼が書いた「シンドラーのリスト」と同じくワンポイントだけ赤で描かれているのも印象的だ。

トムはアメリカで身分書偽造など便利屋をしていて、ディッキーの父に頼まれ、あまり面識のないディッキーをイタリアから呼び戻す依頼を受ける。ルネクレマン版でよく分からなかったトムの怪しさに納得した。トムを演じるアンドリュー・スコットのオドオドした雰囲気と、細かく切り替わるカットで落ち着かない感じが醸し出される。

その後もドラマの尺を活かして丁寧に描かれるが、全然間延びした感じはなく、逃亡するトムのハラハラとしたサスペンス要素がずーっと続いて楽しめた。

ルネクレマン版と大きく違いを感じたのが絵画や画家だった。ディッキーを殺害し、イタリア各地を転々とするトムはカラヴァッジョに自分を重ねていく。そして、ディッキーはピカソの絵画を飾っていて、トムは彼の身代わりの様に大事に持ち出す。思えば白黒で描いたのもカラヴァッジョの光と闇の対比をイメージして採用したのだろうか。ピカソにも何か意図があるのかもしれないが分からなかった。
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