にゃん

天使にリクエストを〜人生最後の願い〜のにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

他人を観ることで自分が見えてくる。
死を見つめる事で今の生きる道が見えてくる。
死ぬ前にしたい事を叶えてあげる団体、しかも無償で。素敵な活動だと思う。

実は和子さんが寺本くんのおばあちゃんだったという展開には驚いたし、自分が活動に利用されたと怒っていた寺本も最後はおばあちゃんと認めて、それを死ぬまで隠し通す事が和子さんの願いであったがちゃんと和解出来てハッピーなエンドだった。

島田の息子は戻ってくることはないが「お母さんを悲しませないで」という息子との約束さえも守る事が出来ていないことに涙し、到底受け入れる事が出来ない我が子の死の発端となった夫を天国で見ている息子の為にも頑張って許す妻の姿は強かった。

1
酒浸りの生活を送る探偵・島田(江口洋介)は、資産家風の女・和子(倍賞美津子)から、余命幾ばくもない幹枝(梶芽衣子)の「最後の願い」を叶えるため富士宮に連れて行くという変わった依頼を受ける。助手の亜花里(上白石萌歌)に背中を押され引き受けるが、幹枝の本当の願いは、かつてそこで捨てた子供を探し出して謝ることだった。有力候補は暴力団の組長。だが島田には、暴力団絡みで子供を亡くし、妻と別れた過去があった。

2
幹枝(梶芽衣子)の告白に耳を傾けた組長の山本(六平直政)だが記憶に食い違いがあり子供探しは振り出しに。幹枝は候補がもう一人居ると地域医療に献身する捨て子だった医師が書いた本を差し出す。会って確かめたいと言う幹枝だが、その晩、喘息(ぜんそく)の発作で危険な状態となってしまう。東京に戻るか、医師に会いに岐阜へ向かうか、選択を迫られる島田(江口洋介)たち。判断を託された付き添いの看護師・寺本(志尊淳)は岐阜へ行く事を決める。しかしその医師は本当の息子ではなく、幹枝の気持ちを終わらせる為にも息子のフリをしてもらう。息子は見つからなかった、と思いきや実は暴力団組長が実息子だった。息子は母をガッカリさせないようにと捨てられた時の状況に嘘を並べて他人だというフリをしたのだった。
幹枝は息を引き取るもその拳には組長の名前が書かれた新聞記事が。きっと幹枝は気づいていた。だってやっぱり自分の息子なのだから。

3
元ホームレスの末期がん患者・武村(塩見三省)の素性を調べて欲しいと頼まれた島田(江口洋介)。武村の「最後の願い」は、アパートで荷物の整理をしたいという単純なもの。望みはかなえたものの、帰り際に口にした「俺はかつての爆弾犯」という言葉が胸に引っかかる。武村は小説を書くことが生き甲斐だったが、生活保護受給者の宿泊所で小説を侮辱された過去があった。その時、武村が病院を抜け出したというしらせが入り武村の自宅へ行くが姿はない。部屋の床下が気になり漁るとそこには爆弾を作る部屋が。武村は自殺しようとしている、そう確信した島田は生活保護受給者の宿泊所へ走る。そこには予想通り爆弾を抱えた武村の姿。説得するも虚しくタイマーは進む。利用者を皆避難させるも島田は武村と残り武村を抱きしめる形でその時を迎える。しかし爆弾は不発。爆弾の作り方を教えてくれた男は本物の爆弾犯だったがわざと作り方を不正確に教えていたのだった。それに気づき失望する武村。

4
元妻・時恵(板谷由夏)の父・三井(山本學)が島田(江口洋介)の活動を知り秩父の札所巡りをしたいと依頼して来る。時恵は島田と同行することに反対するが和子(倍賞美津子)らの説得もあって秩父に向かう。三井の本当の願いは、息子の聖哉(林田悠作)を失ったことで壊れてしまった島田と時恵の関係を取り戻させることだった。だが互いに深い傷を負った二人のすれ違いは続き、巡礼のさなかに三井にも痴呆(ちほう)の症状が現れ始める。
巡礼する中でお互い気持ちが素直になり、島田もあの日の正直な気持ち"息子に刑事としてかっこいいところを見せたかった"と話し、また事件の直前に息子が言った「お母さんを悲しませないで」という言葉さえも守れていない、と話す。決して受け入れられない事実だけれど、時恵は息子の為にも島田と一緒になる決意をしたのだった。

5
倒れて病院に運ばれた和子(倍賞美津子)。和子自身も末期のがんに冒されていた。死期が近づいていると悟った和子は、サイレント・エンジェル財団の活動を寺本(志尊淳)に託す。一方、時恵(板谷由夏)とやり直すことを誓った島田(江口洋介)は、和子に身寄りがないか亜花里(上白石萌歌)とともに調査を開始。やがてこの活動の裏に和子の本当の「最後の願い」が隠されていることに気づいた二人は、寺本の母に会いに行く。
和子は息子を亡くしていた。それは寺本の父親で、つまりは和子の孫は寺本であった。
にゃん

にゃん