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呪怨:呪いの家のharunomaのレビュー・感想・評価

呪怨:呪いの家(2020年製作のドラマ)
2.2
90年代、世紀末に現れた映画は、存在論的なショットの恐ろしさであった。

すべてを列挙できないが『CURE』『カリスマ』そして画面から血が流れるが如くエドワード・ヤンのショットとは、明らかにもはや質が違うのだ。

それらの唯物的な脈動は、大気の震えとなって、この世界そのものの初源的なおそろしさを開示していたはずだ。

しかしここにある恐ろしさは、あくまで怪奇や人間の恐ろしさの効果であって、それは漫画でも構わない。
グロさの効果(クリスチャンとしてはこのような安易な表象へのやる気は反対せざるを得ない)が、園子温的な愚直さのヴァージョンの醜態において、シネマから遠く離れるのは、映画美学校の反転(反動的な所作)した戦略の教えか。

一点、ミソジニー的な脚本は高橋洋のそれであり、わたしは受け付けない。面識は全くないがわたしはこの男が大嫌いだ。千葉県出身で早稲田とはことごとく軟派で魂がふざけている輩が多いと思う。

前半、時代物とはいえ、相変わらず制服がコスプレにしか見えないのは、三宅唱がコントが好きだからか。

複数の視点の群像として、黒沢清というより行定がホラーを撮ったらという感じ。若者がことごとく若者。
カットを割る必然がないとき以外は、ティルト・パン外した緩い長回しの基調が作家の印としてあざとく鼻につくこともある。
デジタルの仄明るい闇と現在でしかない陽光の柔らかさが少し面白い感触。

第二話の魔性的な力関係の反転が一人の女優によって成されているのがいいが、以降は呪い依存に陥っていてだらしない。
悪霊の活劇というより、やはり世界にいる人間が露悪的であるという構図に留まる。そこはかとないドラマ性が中途半端であり、ホラーの要素を外してもいい。

『寝ても覚めても』を2.5としてしまったので、相対的に。
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