TaiRa

呪怨:呪いの家のTaiRaのレビュー・感想・評価

呪怨:呪いの家(2020年製作のドラマ)
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『呪怨』のオリジンというか、Jホラーというものがどんな時代から生まれたのかを振り返る作品だった。

作家で語るなら三宅唱より高橋洋の方なんだろうな。三宅唱としては監督業に徹した習作という感じも否めない。ホラーやドラマシリーズ、他人の脚本で撮るのも初で、ファイナルカット権も一瀬隆重にあったそうなので。人間ドラマ演出の職人として呼ばれた側面はあって、それはそれで良い部分もあるが、ホラーにおける人間ドラマパートの役割はまた特殊だというのも改めて分かる。優れたホラーはなんてことない場面でも怖いし。スタッフはホラー映画の経験ある人ばかりで、ルックも効果も水準は高い。特にスクリーミング・マッド・ジョージの特殊造形は元気いっぱい。キモかわ赤ちゃんとか凄かった。高橋洋としては一応『呪怨』大喜利の範囲内で好きな事やってる。実録犯罪モノと心霊ホラー、サイコホラーを同時進行するのは、あんまりやってる例がないのでは。実録犯罪の再現の様でいて、その直ぐ裏には人間が到底理解出来ない世界の狂いが「家」の形で存在する、というのが高橋洋っぽい。昭和から平成へ移行したばかりの日本に漂っていた禍々しさが、ある種Jホラー誕生の土壌になっている事を回想する作品でもある。奇しくも令和になり、再び世界の狂いが顕在化する時代になったと思う昨今、高橋洋的フィクションの実感は上がってる気がした。
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