あでぃくしょんBBA

アンナチュラルのあでぃくしょんBBAのレビュー・感想・評価

アンナチュラル(2018年製作のドラマ)
4.0
2024.02.28 配信で視聴

大きな流れ(主軸)と小さな流れ(各エピソード)がしっかり絡まりあって、よくできたドラマだった。
昔、夫が科捜研を舞台にした女性主人公のドラマを好んで観ていて、私も何話か一緒に観たことがあった。そのときの印象(へったくそ、わざとらしい等)が強かったもんで、日本のTVドラマというだけでこのドラマも似たようなものと思い込んでいた。

信じられないほどツラい過去を持ちながら、生来の聡明さで医学系の専門職となりバリバリと事件を解決していく――な、主人公は好きじゃない。「こんなんおらんやろ」と思ってしまうからだ。
でも、そんなイヤな気持ちを覆い隠すほど各キャラクターや各エピソードがよくできていた。

個人的に特に印象に残ったエピソードは『3』と『7』。
エピソード3で、「女は感情的で客観性や論理性が皆無」という固定観念にとらわれた烏田検事が主人公に向けたセリフは、かつて夫や県の経済同友会の偉いさんや市会議員が私に厭味ったらしく放った言葉とほぼ同じ。本作は脚本家のオリジナルとのことだが、この脚本家もさんざんこうした言を受けてきたのだろうか。そう思えるほどリアルだった。
また、エピソード7で後追い自殺をしようとした高校生を思いとどまらせた主人公のセリフには、この脚本家の見識と覚悟がうかがわれて感動した。私が知らないだけかもしれないけれど、現実でも映画・ドラマなどのフィクションの世界でもついぞ聞いたことがない、“いじめ被害者が自殺したあとの加害者たちのその後”、それを脚本家の野木亜紀子さんは大勢が観るであろうTVドラマの主人公に言わせた。野木さんには心から「ありがとう」と言いたい。

主題歌も良かった。センチメンタルすぎず静かすぎず、するりと耳に入ってきた。米津玄師「Lemon」、周りが言うほどめちゃくちゃ良い曲とは思えなかった歌だが、こういう使い方をして生きる曲なんだなと得心した。
あとは……そうだね、市川実日子さん主演の探偵ものコメディが観てみたいかな。
あでぃくしょんBBA

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