Parry

ジ・エディのParryのレビュー・感想・評価

ジ・エディ(2020年製作のドラマ)
3.7
“自分と戦ってた 人のことを置き去りにするように”
パリでジャズクラブを経営するかつての天才ピアニスト。殺された親友が犯罪組織から借金していたことを知り、犯罪に巻き込まれていく、洒脱なジャズが軸のガチクライムドラマ。彼のトラブルと同時に、性的虐待と兄の死のトラウマを負う娘もパリにやってきて、彼の人生は複雑を極める。その複雑で苦い人生を送る人々の生活の中に慰めとしての音楽の演奏があり美しい。登場人物は皆落ち込んだ時、仲間を励ます時に楽器を手にする。
アフリカ、アラブ、東欧文化が入り混じったパリのジャズシーンも楽しい。ジャズクラブの独特な熱気が宿る映像と洒脱で巧みな演奏が良い。今ライブハウスに行けないからあの熱気が懐かしい。 パリのムスリムの生活等、多様な文化の表象も自然で、演者が全員うまい。
家族間のイライラがリアル。会うたびに相手が絶対言われたくないことをお互い言ってしまう2人。このドラマの一度距離を置いた方が仲良くなれる描写も好き。他者に接する家族を見てその人への愛を思い出すところが良い。ジュリーが昔の父の演奏を見るシーンは感動した。
アンドレ・ホランドの人生の苦い汁をすすって常に諦めたような演技が上手い。人の痛いところを刺すセリフを言うのがナチュラルにハマる稀有な俳優。
Parry

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