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コンフィデンスマンJPのtetsuのレビュー・感想・評価

コンフィデンスマンJP(2018年製作のドラマ)
4.0
映画の予習として視聴。

凄腕ペテン師・ダー子、紳士な年長・リチャード、お人好し・ボクちゃん、
3人の優しい詐欺師集団が
世の中にはびこる悪を華麗に騙す!
愉快!痛快!サスペンスコメディ。

序盤こそ、都合の良すぎる種明かしに辟易していたものの、3話あたりから俄然、面白くなって驚く。

「悪人を騙す」物語が、話数を追うごとに「悪人を改心する」物語、「悪人に正しい道を歩ませる」物語へと変貌していくのが面白い。

また、徹底的にリサーチして、様々な役柄になりきるダー子の姿は、本作の脚本家・古沢良太にも通じるのかもしれない。

そして、なんといってもコメディエンヌ・長澤まさみを開花させたことが本作最大の功績だろう。


以下、各話ざっくり感想。


[ゴッドファーザー編]○
ゲスト:江口洋介
突然の『マルサの女』パロディに作り手の映画愛を感じる回。
しかし、ラストのトリックがあまりにも"ぶっ飛び"すぎているので、かなり困惑した。その点では、力業で解決しがちな古沢脚本の悪いところがでた作品とも...。

[リゾート王編]○
ゲスト:吉瀬美智子
『コンフィデンスマンIG』の存在を知っていたので少し損をした印象。敵を騙すトリックのやり過ぎ感は今回も否めないが、ただの勧善懲悪ものではないことが明らかになった回でもある。

[美術商編]☆
ゲスト:石黒賢
でんでん演じる謎の新キャラの個性はさることながら、悪役のラストが良い。
騙して終わるのではなく、ホッコリと心温まる展開が気持ち良い。

[映画マニア]◎
ゲスト:佐野史郎
『紳士は金髪がお好き』に触発され、マリリン・モンローを真似するダー子さんや、高倉健、『用心棒』などジャンルにとらわれない映画パロディが楽しい。
映画=虚構=食品偽装と重ね合わせたアイデアはもちろん、映画好きである悪役の懲らしめ方が最高だった。
(ラストで次週の医者編の伏線を張っているのも面白い。)

[スーパードクター編]☆
ゲスト:かたせ梨乃、○田○之
『白い巨塔』に『ドクターX』、『医龍』などなどやりたい放題。笑
これまでの「悪役を華麗に騙す」というお約束をひっくり返す、善玉と悪玉が混沌とした展開がお見事。その点は連続ドラマの強みを生かした回とも...。ただのご都合主義で終わらない結末も秀逸。
というか、超特別ゲストの無駄遣い感。笑

[古代遺跡編]◎
ゲスト:内村光良
序盤に主人公たちのパートを多くすることで、すんなりシリアスな"うっちゃん"を受け入れさせる流れがお見事。
っていうか、もはや悪役が主人公。笑

[家族編]◎
ゲスト:竜雷太
「家族とは何か」を主軸に捉えた回。
『万引き家族』のような疑似家族がテーマだが、中盤は確実に『東京物語』を彷彿とさせられる。

[美のカリスマ編]◎
ゲスト:りょう
名作ドラマ『古畑任三郎』のごとく、悪役がプロフェッショナルであるからこその面白さ。というか、もはや"りょう"さん、悪役じゃねぇじゃん。笑

[スポーツ編]◎
ゲスト:小池徹平
古沢さんが同じく脚本を務めた映画『ミックス。』のセルフパロディ回。
しかし、スポ根ものとしても屈指の出来。ドラマという尺の都合上、描写の希薄さはありながらも、へっぽこチームが成長する姿はみていて痛快だった。

[コンフィデンスマン編]◎
ゲスト:佐藤隆太
佐藤隆太のこれまでのフィルモグラフィーがあるからこその見事な怪演。
もはや、日本版ジョーカーともいえる名演のおかげで、彼の新たなる一面が存分に引き出された回だった。
また、シリーズ初の密室劇でもあり、古沢脚本の真髄が発揮された作品*でもあるのかも...。
*彼が初のオリジナル脚本を担当した映画『キサラギ』も密室劇である。
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