継

白洲次郎の継のレビュー・感想・評価

白洲次郎(2009年製作のドラマ)
4.0
もう何年も前にNHKで放映された全3話のドラマ。
白洲次郎とは、
敗戦後の占領下に吉田茂の懐刀として対GHQ折衝を担当し 「戦争には負けたが奴隷になったわけではない」と占領軍相手に媚びへつらう事なく渡り合い “従順ならざる唯一の日本人” と呼ばれた人物。

ドラマは,
教授が学生に向かって“gentleman, ”と呼び掛ける留学先のケンブリッジで, 不良のボンボンだった次郎(伊勢谷友介)が紳士としての振舞いや生き方を身につけ, 帰国後に生涯の伴侶となる樺山家の令嬢・正子(中谷美紀)と出逢い, やがて戦後日本の復興へ尽力していく生涯を描いたもの。

180㎝近い,当時としては高身長にヘンリー・プールで仕立てたスーツをビシッと着こなすその一方で, Tシャツにジーンズというカジュアルな着こなしを初めてした日本人で,
ベントレーやブガッティ, ポルシェを所有していた無類の車好き。

リッチで甘いマスクで背が高くてちょいワルだけど, 女には優しく曲がった事には相手が誰だろうと毅然とNo!と言える頑固者。
必要とあれば嫌われ役・汚れ役を引き受け,売国奴の汚名を受ける事も辞さない(広畑製鉄所をめぐる乱闘騒ぎは実際にあった事ですww(^_^;))

「日本で一番カッコいい男」とも言われる, この人に関するエピソードは事欠かなくて,
マッカーサーを叱責したエピソードをはじめ, 遺言の「葬式無用, 戒名不用」や, “日本人にしては…”と上から目線で誉めてきたGHQ高官のブロークンな発音を「貴方ももう少し勉強すれば上手になりますよ」と逆にやり返すくだりまで,もれなく紹介。

残念なのは, 晩年のゴルフ場・理事時代に, 時の中曽根首相が訪れた際のエピソードが無いこと。
「他の会員に迷惑」とSP達のコース同行を許さず, 仕方なくクラブハウスから双眼鏡で首相の姿を追うSPに「バードウォッチングか?」と “風見鶏” と揶揄された首相にかけてジョークを飛ばしたって話、あ放送出来ないか😹

後に作家/目利きとして名を成す正子が, まだ駆け出しの頃に当時を代表する批評家・青山二郎に散々罵倒されるシーンなんてのもあって,家事を一切やらないこの妻との独特な暮らしぶりや関係性が垣間見れるのも興味深くて,

フレッド・フリス, カヒミ・カリィ, 菊地成孔なんかと結構攻めた劇伴を手掛けたのが, この後「あまちゃん」のテーマで有名となる大友良英で, サントラを持ってたりもします。

中谷美紀さん目当てで観てた(笑)んですが,
背が高く甘いマスクで流暢な英語を話す伊勢谷友介は次郎役にピタリとハマった印象で何とも凛々しかったですね。何ていうか経済的に困窮した形跡がまるで無いというか,育ちの良さが姿勢や素振りに表れてるようでした。


戦時中に疎開した武相荘(武蔵と相模の国の狭間にある事と,無愛想な自身にかけて(笑)命名したもの)は記念館になっていて, 次郎さんが自作した農工具や吉田茂から譲り受けた椅子, 家屋の一部が公開されてました。今やってるのかな?コロナが落ち着いたら,また行ってみたいです(^^)
継