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サイコだけど大丈夫のCinemanのレビュー・感想・評価

サイコだけど大丈夫(2020年製作のドラマ)
3.0
『サイコだけど大丈夫』
全16話 Netflixオリジナルシリーズ
パク・シヌ監督
2020年公開 韓国
鑑賞日:2023年10月14日 Amazon Prime Video

子供の頃からの兄をケアし、仕事場では精神病棟保護士として患者をケアしているので常に感情を押し殺している暮らしている弟。
そんな兄弟の前に反社会性パーソナリティ障害を持つ超売れっ子の童話作家が現れた。

【物語の概要】
ムン・ガンテ(キム・スヒョン)とコ・ムニョン(ソ・イェジ)は病院で開催された朗読会の会場で出会った。
ガンテはムニョンとは初対面ではなく幼い頃に出会っていたことに気づきます。

ガンテは自閉症スペクトラムの兄サンテ(オ・ジョンセ)をケアしながら暮らしていますが、毎年サンテのトラウマとなっている蝶に追われる夢を見る度に引っ越します。
ガンテは幼馴染のジュリ(パク・ギュヨン)に誘われたこともありソウルから故郷のソンジン市へ引っ越すことにしました。

朗読会でのムニョンの暴言がメディアに公表されたために新刊の販売が停止、出版社も倒産の危機に陥りました。
そんな騒ぎのなかムニョンはガンテに会うためにソンジン市へ向かいました。

ムン兄弟とムニョンは、ソンジン市のジュリの実家に下宿します。
会社が倒産した代表イ・サンイン(キム・ジュホン)と本来アート・ディレクターとして入社したのに代表から雑用ばかりやらされているユ・スンジェ(パク・チンジュ)もムニョンを追いソンジン市に来て、ジュリの実家で一緒に生活することになりました。

ガンテから兄を蝶のトラウマから助けて欲しいと頼まれた院長は、トラウマ克服のためムニョンには患者へ文芸の授業を教えて欲しいと頼み、サンテの絵の才能を見込んで院内に壁画を描くよう“処方箋”しました。
ある時、著名な童話作家だったムニョンの母親の作品「西の魔女の殺人」のページの間にメッセージの書かれた紙が見つかります。

「今日は壁画に蝶を描く」と張り切って病院へ向かったサンテが目にしたのは、自分の絵の中に自分が描いていない母を殺した蝶の絵でした。
ムニョンもその絵を見て自分の母親がムン兄弟の母親を殺害した犯人だと認識します。
ある日、蝶のブローチを付けた女性が彼らの前に現れるのでした…。

母親のいないムン兄弟は頼る大人もいない孤独な兄弟。
ガンテは幼い頃から母親に「いつまでもサンテを守ってあげてね。私はそのためにあなたを産んだのだから」と言われて育ちました。
子供の頃のガンテは「僕は兄ちゃんのものじゃない。ムン・ガンテは僕のものなんだ」と母親に泣きながら訴え、兄さんがいなくなればいいと思うこともありました。
しかしガンテは母の言いつけどうり自閉症のサンテを懸命にかばいながら大人になりました。
サンテは常にガンテの顔を観察してガンテの気分や感情を鋭く読み取ってしまうので、ガンテは心や体が傷ついても無理に笑って幸せな顔を見せます。

ムニョンは生まれつき他者の感情や愛を感じ取ることができない反社会性パーソナリティ障害の持ち主。
欲しい物は何でも手に入れないと気が済まない傲慢な性格のムニョンは、とある事件から「ガンテこそが自分のストッパーになり得る」と付きまとうようになります。
水と油ともいえる正反対な2人は衝突を繰り返しますが、互いの過去と心の傷に気づき周囲を巻き込みながら理解を深めていきます。

【Trivia & Topics】
*ヒロインの魅力。
冷徹で無感情な美魔女ムニョンが恋をしてからはとつぜん子供のように純真な顔つきをみせたり甘える表情の変化が見事でした。
ムニョン役のソ・イェジは身長169センチ体重43Kg。
スタイル抜群で小顔でほっそりしている彼女のファッションも楽しめます。

*自閉症スペクトラムな兄。
知的障害や自閉症などの発達障害のある人は人並み外れて優れた能力を示すことがあり、特定の分野の記憶力、芸術、計算などに、高い能力を示します。
バリー・レヴィンソン監督の『レインマン』(1988)でアカデミー賞主演男優賞、ゴールデングローブ主演男優賞を受賞したダスティン・ホフマンの演技が圧巻でした。
韓国では名バイプレイヤーとして有名なオ・ジョンセの本作での自閉症スペクトラム患者ぶりにも目を見張ります。

*絵本の役割。
本作は物語の語り部として何冊もの絵本が登場します。
実際にこれらの絵本が発売されています。
「ドラマ“サイコだけど大丈夫”特別童話シリーズ」
「悪夢を食べて育った少年」「ゾンビの子」「春の日の犬」、「手とアンコウ」「本当の顔を探して」(全5巻セット)
https://onl.tw/R7QKu1T

【5 star rating】
☆☆☆
☆印の意味です。
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。(☆印の意味)
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