上海十月

阿修羅のごとくの上海十月のレビュー・感想・評価

阿修羅のごとく(1979年製作のドラマ)
4.0
トルコの軍学隊が聴こえるとこの作品を思い出す。4姉妹に絡む人間模様を愛憎絡みながら描く。御本尊が佐分利信。インサートされる何を考えているかわからない佐分利信の目が怖い。クローズアップが強い印象を与える。和田勉の演出は最高潮だ。後にダジャレばっかり言うおじいちゃんとは思わなかったが。森田版の映画は観たが、今ひとつ迫力がない感じがした。映画のキャストは、その時で一番当てはまったキャストでは、あったのだが。和田勉には、森田芳光も勝てなかったのだなと感じる作品。やはりテレビ版が見事だ。女の業を、女臭く描き、和田勉曰く、救いようのない話を徹底的に描く。女の話を描いている割には、男の馬鹿さ加減がコミカルに切なく描かれているのが特徴だ。向田邦子は、男はやっぱりかわいいと思っているんじゃないかと感じる。ラストで佐分利信が倒れた奥さんの前でフラれた男を演じるのは、凄すぎる。結局、佐分利信が最後持ってった感じがする。映画版の仲代達矢だとインテリすぎる感じがしていやらしくなかったなと思い出す。ヤクザな顔の佐分利信が色気があるように見えるのは不思議だ。宇崎竜童も「Tatooあり」のころで変に時代を感じさせ、キャスティングが成功している。テーマ曲になっているトルコの軍楽が耳に残ってしょうがない。
上海十月

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