めしいらず

阿修羅のごとく パート2のめしいらずのレビュー・感想・評価

阿修羅のごとく パート2(1980年製作のドラマ)
4.6
前作の一年後に制作された物語の後半部分。引き続きハイレベルな人間喜劇が展開していて相変わらず抜群に面白い。不倫男との関係を切れずにいる長女。夫の不倫を疑い苦悩する次女。結婚して少し柔和になった一方で妹には変わらず辛く当たる三女。ボクサーの夫の栄枯盛衰と姉たちへの虚勢で疲弊していく四女。不倫相手とは切れても彼女の息子には会いに出向いていく父。お話それ自体より人間の愚かさを可笑しく悲しく描き出すことに長けた向田脚本の見事さ。形見分けの際に母の箪笥の奥に仕舞われていた春画を姉妹が見つける場面、父の浮気相手の家の前で佇む母を次女が見つけた時(前作第3話)と同じシチュエーションを今度は次女と娘とで図らずも再現する皮肉な場面、へのへのもへじにまつわるシークエンスが印象深い。多少のキャスト変更があるが違和感はなかった。和田演出にほんの少しだけホラー味が加わったような気がする。女の中には遍く阿修羅が住んでいるけれど、彼女らは夫の前でそれをおくびにも出さずにいられるようだ。あなおそろしや。
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