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アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテルのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.8
2015年、不老不死の吸血鬼エリザベス・ジョンソン(レディー・ガガ)が支配人を務める、ロサンゼルスのホテル・コルテスが物語の舞台となる。石油王で殺人鬼のジェームス・P・マーチ(エヴァン・ピーターズ)が、かつて客を拷問する目的で建てられた亡霊が住み着くホテルには、エリザベスの恋人ドノバン(マット・ボーマー)や薬物中毒の亡霊サリー(サラ・ポールソン)、トランスジェンダーのバーテンダー・リズ・テイラー(デニス・オヘア)や破天荒なモデル・トリスタンなど、それぞれ暗い過去を持つ住人が暮らしている。
十戒連続殺人事件の捜査のためにホテルを訪れた刑事ジョン・ロウ(ウェス・ベントリー)が精神を病んでいく姿とともに、謎に満ちたエリザベスやホテルの歴史が描かれる。
アメリカン・ホラー・ストーリーのシーズン5は、バンパイアや死霊が蠢く「オーバールックホテル」のようなホテル・コルテスを舞台にしているだけに、「シャイニング」「吸血鬼ノスフェラトゥ」などの傑作ホラー映画へのオマージュをたっぷりに、ホテルの主ジェームス・P・マーチと伯爵夫人エリザベスを中心にしたバンパイアや死霊や人間の愛憎群像劇を描いていくサスペンスミステリーホラータッチで、エリザベスにより本来の自分に生まれ変わることが出来たリズ・テイラーやエリザベスの恋人ドノヴァンをエリザベスから取り戻したいドノヴァンの母アイリス(キャシー・ベイツ)や絶望的な孤独に苦しむサリーの葛藤、エリザベスをめぐるドノヴァンとトリスタンの三角関係、エリザベスが何故似たり寄ったりのイケメンを喰いまくるのかの理由に隠された切ない悲恋、バンパイアや死霊の孤独さを埋め合う家族のような絆の切ないヒューマンドラマを絡めて描かれるあたりは、ライアン・マーフィーのマイノリティは対する優しさが見えてほっこりするし、「悪魔の夜」を境に予想していた展開をひっくり返す予断を許さない緊迫したサスペンスミステリー、放送基準の限界に挑戦した残虐描写や性描写がてんこ盛りで、劇薬やアプサンのような危険な刺激がいっぱいなシーズン6。
リズ・テイラーを演じるデニス・オヘア、薬中を演じるサラ・ポールソン、アンジェラ・バセット、キャシー・ベイツ、ジョニー・デップ張りの怪演を見せるエヴァン・ピーターズなどの演技派俳優の演技合戦は見応えあるけど、レディ・ガガそのものの伯爵夫人エリザベスは、このシーズンの軸になるキャラクターと演技だった。
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