朝ドラ初、三世代にわたる家族の物語。ヒロインも上白石萌音の安子、深津絵里のるい、川栄李奈のひなた、で岡山・大阪・京都が舞台。
テーマはラジオ英語会話、ジャズ、時代劇。
以下ネタバレ感想を。
私は岡山出身で英語に関わる仕事をしている為、強く興味を持った。
安子編は怒涛の大恋愛で非常に面白かった。キャストも上白石萌音と松村北斗、そして特に村上虹郎、小野花梨という支える人たちも良かった。
戦後のラジオ英語会話というその少ない娯楽と英語に触れる機会を通じたところは、戦後の英語や海外に自由に触れられる世界に期待する若者という点でも非常に良かった。
地元が舞台ということもあり、どうしても方言が気になったが、やはり音感があるのもあってか上白石萌音の岡山弁は素晴らしく、岡山出身者の浅越ゴエ、甲本雅裕、前野朋哉も脇を支えた(尚、オダギリジョーも岡山である)。
大阪の我が家の味で女手一つで育てる姿も印象的だったが、当時トラウマレベルと話題になったI hate youと最後まで見所が多かった。
その分、深津絵里の大阪編はカラーが変わり、また田舎→都会ということもあり録画をして見るのをやめていた。
いざ見てみると、売れないミュージシャンとの大恋愛でこちらも面白く、所々でも美しいアングルがあり別のドラマのようだった。
京都編ではひなたの子役が自分の気持ちに全力に振り切っていて素晴らしく、毎回楽しみにしていた。
しかし基本的にカムカム英語はおろかラジオ英語会話もほとんど登場しない。
加えて、回転焼きで生計を立てられるのか?オダギリジョーは働かない?ピアニストになる?という感じから、川栄李奈のところは主人公は棚からぼたもち、のようにラッキーがくる展開で面白くは思えなかった。
英会話習得も、ドラマとはいえ仕事柄いきなりあの語彙力や表現力はいかがなものかと思った。英会話は一人一人の癖とやり取りの回数を経て修練される節が強いからである。
しかしながらそれよりも、このドラマのラジオ英語会話という軸となる部分は深津絵里も川栄李奈もほとんど出てこない。英語もほとんど関係がない(寧ろとってつけたような印象を受けた)ことから京都編、クライマックスも個人的にはあまり盛り上がらなかった。
終盤は伏線の回収が多く、寧ろ回収するためというくらいに感じてしまい、人物の年齢や年月は?と時折冷めてしまっていた。
そしてこのドラマで分かったのは一人を二人が演じる、特に青年期→老年期の場合は子役とは感情移入が全く違うということである。
濱田岳の老人役は見た目はあれだが同一人物が演じたことで重さがあった。村上虹郎と上白石萌音の別キャストは声の違いとその背景の積み重ねの感じられなさから「同名の別人物」という感じがしてならなかった。
総合的には、この作品は前半(大阪編まで)は良かったが後半は自分には合わなかった。