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ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路の傘籤のレビュー・感想・評価

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舞台は1954年のアメリカ。黒人への差別や偏見がまかり通っていた時代、アティカスとその家族・友人たちは"恐怖"を体験する。
魔術や幽霊といった超常現象は存在するが、ここで扱われる恐怖とは「白人」という存在であり、一風変わった読み応えのドラマ。

マット・ラフによるの原作も併せて読んだ。制作総指揮にはジョーダン・ピールも関わっており、原作からの脚色やエピソードの追加はあるものの、「人種差別」というテーマは変わっていない。ちょっと汲み取りにくいシーンもあるので原作を読んでて良かった。

原作・ドラマ、どちらもテイストを変えながらオムニバス形式で進行するので楽しい。ただしクトゥルフ成分は少なめ。当時の差別・暴力が蔓延していた社会を、ファンタジーで縁取り、皮肉を込めて、時にコミカルに映し出しているのは、その問題が現在とも地続きであることを物語っているのだろう。
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