トケグチアワユキ

時をかけるバンドのトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

時をかけるバンド(2020年製作のドラマ)
5.0
まず最初に、このレビューは、このドラマの純粋な感想ではないことをお断りしておく。

このドラマの音楽を担当した赤い公園というバンドをメジャーデビューライヴからずっと追いかけていた。
東京在住でライヴに立ち会うことではずいぶん有利な立場だったが、それでもゲリラ的に開催されるライヴや争奪戦になった場合、ダフ屋を利用することに躊躇ない程度にはファンだった。

このドラマの地上波放送が開始される直前、赤い公園の中心メンバーである津野米咲(つのまいさと読む)が死んだ。
公式な発表はないが、自ら命を絶ったのは想像に難くない。
このドラマで使用されている3曲が、最後にリリースされた作品になった。

津野米咲が亡くなってしばらくは、彼女の曲を聴くたびに涙が止まらなくなってしまい、とてもこのドラマを冷静に観ることなどできるはずもなく、気づけば半年も放置したまま過ぎていた。

もうダイジョブか...と、きのう観はじめたのは、HDDを整理してて見つけたからに過ぎないけど、全10回を一気に、いったいなぜ泣いているのかよくわからないまま観つづけた。
もうストーリーとぜんぜん関係ないところで曲が聞こえてきて泣き、白石聖の苦悶に満ちた表情で泣き、やっぱり冷静じゃいられなかった。

きっとこれからも、このドラマを冷静に観ることはできないだろう。
たぶん、音楽業界に理解のある監督がいて、愛情を持ってストーリーを紡いだ脚本家がいて、俳優陣は真摯にそしてエモーショナルだった。
残念ながら冷静に判断はできてないが、すごくいい表情がいくつもあった。
ただ、申し訳ないが評価ポイントは曲に対するものだ。

いつか冷静に観られる日が来たら、あらためてドラマについても感想やポイントを書き入れるつもりだ。