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新聞記者のkuuのレビュー・感想・評価

新聞記者(2021年製作のドラマ)
4.0
『新聞記者』
製作年2022年
エピソード数1話~6話
(44分~57分)

ジャーナリストの望月衣塑子による同名ベストセラーをドラマ化。
報道に対して強い信念を持ち“新聞業界の異端児”と呼ばれる主人公が、政府の汚職疑惑を巡る深い闇に対し、届けたい小さな声と世論や組織、権力といった大きな力との板挟みに遭いながらも、真実を暴こうと奔走する物語。

映画版でも監督を務めた藤井道人が再びメガホンを握る。
権力に屈しない主人公の新聞記者を米倉涼子が演じるほか、組織のやり方に翻弄される若手官僚役に綾野剛、彼は押さえ気味の演技やったかな。
また、映画では登場しなかった新聞配達員の就活生に横浜流星が演じてましたが、療養後の見たけど、やはり男前でした(睫毛長っっ)。
個人的には、吉岡秀隆、寺島しのぶが演じる夫妻にメチャクチャ感情移入して泪がとまらんかったなぁ。
他には、吹越満、田口トモロヲ、大倉孝二、田中哲司、久しぶりに見た萩原聖人は『Don't Look Up』のデカプリオに負けず劣らずポニョポニョになってたし残念やったかな。
あと、柄本時生、土村芳、小野花梨、橋本じゅん、それに、でんでん、ユースケ・サンタマリアに佐野史郎はイライラする役に徹してたしムカつきまくったかな。
とまぁ豪華キャストが集結してました。
ネトフリやりよるなぁ。

※あらすじは、ネタバレに抵触しますし、末記載してます。

政治の腐敗と、その隠蔽を想定したメディアのシナリオは、真新しいモンではない。
むしろ、『Don't Look Up』なんかは、人間のシステムの欠陥を告発するモンやったし、公正な民主主義を実現するための試みを抑制するものだとも云える。
納税者のゼニを使うちゅうことは、国の最高権力者としての質の高い基準を守ることとも云える。
国民に最高の形で奉仕するということ。
18世紀のフランスでは、モンテスキューが立法、行政、司法の三権分立論を主張し、互いに牽制し合うことで権力の腐敗と乱用をふせぐことができると説いとったし。
ルソーは主権者は人民であり、政府はその行政権を契約によってゆだねられたにすぎないとする『人民主権(国民主権)』の考え方を唱えとる。

Netflixのシリーズの今作品は、映画をリメイクし、本をベースにしたもので、日本にとって都合の良い分岐点に来てるんかなぁと。
パンデミックによって政治体制に多くの厄介ごとが発生したけど、指導者が自らの
言葉、 
法律、
そして、原則に忠実であるかどうかを監視することは、これまで以上に最重要視されるようになったはず。
今作品は、日本政府による金銭のやり取りや公務員による文書の改竄とか、強い利益相反を探り当てた経験豊富な記者、松田女史を追ったモンでした。
これは、首相や、彼らの想定される腐敗した方法の話じゃなく、それを支える歯車とその下のシステムの話。
総理大臣が物語の顔では全くなく、最高権力者に仕える大臣や公務員が登場するところが面白い切り口で昭和の小説を彷彿してました。
ジャーナリストてのは、
地位や安全だとか、
財政を維持するために自分を守るという考え方を説いている。
それが政治的立場の問題点であり、危機感がなさすぎる。
けど、今作品には、どないな人にも、その背後には人がいて、オフィスの外にも人生がある。
今作品にはその考えを大切にしている。
この考え方は真実やし、システムが攻撃されているときには、たとえそれが正しいものであっても、忘れがちなものです。
今作品が個人的にハマった要因は、その人間らしさにあるかな。
腐敗した権力の衝撃的な本質を、
ユーモアもなく、
また、軽んじることもない。
部下にパワハラ圧力をかけ、
ストレスのたまる結果を引き起こすには、上層部が必要。
この物語には、説明責任の欠如のイカれたクソ臭いが蔓延している。
そこをエグるリアリズムに拍手を送りたいかな。
権力を弱めたり、衰退させたりする気配がないけど、膿んだ政治体制に厳しい見通しを示していた。
今作品に光明を求めるなら、何の光明もないと思った方がいい。
この作品は、まさにそう作ったんかもしれへん。
そして、キャストは決定的に、非言語コミュニケーションが自然にまでに憂鬱になるよう演出されてました。
権力者にとって、メディアに徐々に漏れていく汚職を隠蔽することは楽しい仕事やないが、ジャーナリストにとっても楽しいことではないはず。
道徳的に、何が納税者を裏切ったということを知るのは、もどかしいことやろし。
今作品は、整ったシステムと戦いながらも、それを崩壊させるための希望の痕跡を見出すという経験をさせて、巧みに小生を釘付けにしました。
メディアの報道の神聖さを理解し、我々に仕える人々に責任を取らせるためには言論の自由が極めて重要であることを理解している。
今作品は、政治的ヒエラルキーの腐敗した性質を知る上で、素晴らしいケーススタディとなることを小生は願う。



エピソード1
担当中の詐欺事件から離れ、栄新学園をめぐる新たな疑惑を追うように編集長から命じられる松田。
その裏では、関係者による隠蔽工作が始まっていた。。。

エピソード2
同僚たちとともに文書の書き換えを続ける鈴木。  
関係者に話 を聞きに行く松田。
問題になりそうな記者たちをリストにまとめるよう命じられる村上。。。

エピソード3
松田の兄について調べ始める村上。
鈴木がとった行動により世間の関心が栄新学園問題に集まると同時に、国に対して批判の目が向けられるようになる。。。

エピソード4
検察による不起訴処分という決定を受け、松田を攻撃する記事を週刊誌に掲載させ、さらに部下を使ってその記事をネット上で拡散させようとする多田。。。

エピソード5
真相を明らかにするため、 黒崎に協力を求める松田。  
業務に関係のないことを詮索したとして、厳しく叱責される村上。  東都新聞の入社試験を受ける亮。

エピソード最終話6
康平の病室で村上と対面する松田。
国を訴える準備を始めた真弓と落ち合った松田は、会いたい人物がいるという真弓から、一緒に来てほしいと頼まれる。。。
綾野剛がやっと本領発揮のイカれ具合(良い意味での)チョイ見れる
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