長瀬智也のラストドラマ。
長年タッグを組んできた同志ともいえる宮藤官九郎脚本。
1話はメンバー紹介するのに、ちょっとキャラが多すぎてダレてしまったが、そこはご愛嬌!
2話からグンッとクドカン節炸裂!
不眠症の人でも100%眠れる日本の伝統芸能である睡眠導入剤の能を舞台に、よくもまぁこれだけの小ネタをいろいろ詰め込むわ!さすが!
2話
長瀬智也演じる長男の観山寿一が28代目宗家となることを発表。
弟子
「元レスラーでしょ?免状はお持ちなんですか?」
寿一
「あぁ…プエルトリコチャンピオンベルトを…」
(笑)フフフッ!オモシロイ。
暗くなりがちな介護ネタを明るくやってくれるのも楽しくていい。
能とプロレスの組み合わせというのが…前代未聞のタッグマッチ!
○風呂場
寿一が人間国宝の父の背中を流す。
寿一
「ニードロップの破壊力だったら誰が一番だと思う?」
父
「そりゃーもうキラー・カーンに決まってるじゃないかお前!あのアンドレ・ザ・ジャイアントの足の骨折っちゃったんだから」
寿一
「いやいやいやブローディーも相当だぜ!」
父
「7月31日、両国決戦…」
マニアック過ぎる…これについていける視聴者は長年のプロレスファンしかいない。
金がなくて元嫁に養育費が払えず、息子との面会日をキャンセルされる…。寿限無に金を無心するも、観山家にも現金が底をついていると説明される。それで寿限無は何とかしようとデリバリーのバイトを始める。
いま紹介すると五千円貰えるからと、寿一にも勧める。
【飯の運び屋】で注文する、さんたま道場でレスラーの後輩。それを運ぶのはブリザード先輩。
頼んだ品は、全部ハミ出てる!(笑)
これ実際にTwitterで炎上してた事件!
こうやって使うんだ!さすが!
笑っちまうよ!
○さんたま道場
【飯の運び屋】として、道場に配達するブリザード。
長州力
「(ステーキ弁当の肉が切れていない)切れてねぇな!…これ切れてないですよ」
(笑)誰もが長州力と言ったら、切れてない!をやるのを、逆手に取って…さすが!
それで、長州さんを放ったらかしにするのもオモシロイ。
ブリザード寿
「長州さん、最後にワガママ聞いてもらっていいですか?」
長州力
「なんだ?」
ブリザード寿
「オレのこと、ロープに飛ばして下さい」
○リング内
長州力
「寿!お前プロレス好きか?」
ブリザード寿
「大好きです!」
長州力
「じゃあお前、コイツラよりも(他のレスラーを指指す)幸せかもな!大好きなものを仕事にしなくていいもんな!」
ブリザード寿
「別れたかみさんにも、近いこと言われました」
長州力
「いくぞー!」
ブリザード寿をロープに投げる長州力。
ブリザード寿
「ありがとうございました!これで心置きなく…」
リキラリアット炸裂!!(笑)
最高かよ!パワーホールが耳奥で鳴っている!
不退転の決意で実家に戻り、最後のワガママでリキラリアットまで食らったのに、父のヘルパー志田さくら役を演じる戸田恵梨香に10万円を借りてしまった寿一は、その借金を返すために、さんたま道場のレスラーが怪我をしてしまったから穴埋めに来てほしいという電話がくる。ファイトマネーに10万出すと言われ、マスク超人として参戦する!
この辺もね、うまいなぁ…しっかりと組み立てて…テレビドラマとしてホントに良くできてる。
そして来週に、キチンと楽しみを繋げる。
第四話
○稽古
寿限無
「鐘後見(カネコウケン)は寿一っちゃんにお願いします」
寿一
「かねこうけん?」
大州と秀生が謡う。
その向かいでスマホで検索する寿一。
検索窓に「かねこうけん」と入力。
「もしかして︰金子賢」
その下に金子賢のプロフィールとムキムキの写真が出る。
ここ吹き出してしまった…
最高だろ!いい按配の人を出すわ!
○寿三郎の部屋
エンディングノートを見る寿一
寿一
「何だお姫様抱っこって?」
寿三郎
「そこじゃねえわ」
寿一
「ビューティフルライフのロケ地巡り」
寿三郎
「うん。さくらちゃんの一番好きなドラマ。知ってる?」
寿一
「ああ、車椅子のやつ?なんとなくな」
寿三郎
「もうすぐ誕生日だからさ、そこの、そのドラマのロケ地をさ巡ってあげようかなとサプライズプレゼントで」
寿一
「うん、わかった。調べとくわ」
このチョイスね最高ッ!しかも木村拓哉の後輩である長瀬が大先輩の作品をイジるのかと思ってドキドキしてしまった…。確かにドラマの放送当時は、ほんとにみんな見てたし、放送翌日には学校で盛り上がってたのを思い出す…懐かしい気持ちになる。
○池袋西口公園
大州を迎えにきた寿一。
大州
「ちょっと何それ?」
寿一
「あっこれ?いやほら、万が一カラーギャングに囲まれたら…お前のこと守りきれねぇなぁと思って」
大州
「何年前の話だよ!」
まさかの『池袋ウエストゲートパーク』のセルフカバー!同じ曲まで使ってる!懐かしい…
西口公園にマコト登場!チェーンを首に巻いてランペイジ・ジャクソンかよ!
○観山家のリビング
寿三郎の重大発表で一族勢揃い。
寿三郎
「(小指を立て)これが(妊娠の仕草)これになっちまってって。で一緒になってくれないかって」
長田舞
「なんだそれ?蒲田行進曲か?!」
寿三郎
「いや、俺の方が先じゃないかな…蒲田行進曲82年だろ?私のは、それより前だから」
ボケがいちいち世代だから堪らない!これは若い人は伝わらんだろ?もはや若い人は捨ててるのか?ターゲットは40オーバーか?!どちらにせよ、こういう小ボケは好きですよ。
第五話
長州力…アベノマスクしてね?
最高やろ!!
○観山家・キッチン
さくら
「こないだの件ですけど…返事はすぐじゃなくてもいいですから…」
寿一の心の声
「返事が…必要なやつだったのか!」
プロレス好きという何とも一般ウケしないマニアックさと、「好き」と言われて右往左往する童貞感に非常に好感を持てる。
そして、その解決方法を必死に考えて…
妹の旦那である長田の体格の良さを買って、世阿弥のコスプレをさせ、示し合わせたように寿一とさくらの前をタクシーで通り抜ける。
寿一は
さくら
「長田さん何やってんだろ?」
一瞬でバレる…。ブゥッ笑っちまった!
○外
主治医から旅行の許可を得るために運動する寿三郎。そこにアイ・オブ・ザ・タイガーが流れる。ロッキーやん!最高だよ。
○観山家リビング
主治医から旅行の許可が下り、荒川良々が記念撮影を始める。
寿三郎
「おぉいい写真じゃねぇかよ」
舞
「これでよくない?」
寿一
「いや、駄目だな…見てみろ!舞が一重になってる」
舞
「40年…一重だけど…」
最高!
第六話
○観山家
誕生日に留守番している、さくら。
さくら
「お金持ちとしか付き合ったことなかったのに…力持ちを好きになってしまうなんて…」
オサダ
「ひとりごとですか?」
さくら
「嫌いなんです筋肉バカ。ううん…筋肉バカが好きなバカ女。ううん…筋肉バカが好きなバカ女狙いでジムに通ってカラダ鍛える…筋肉バカ?!」
オサダ
「ひとりごと…だな、お疲れです(踵を返す)」
さくら
「安定した収入と貯蓄と不動産それだけ。結婚相手に逞しさなんて求めなく…ねぇ聞いてる?」
○サービスエリアのフードコート
観山踊介
「アニキアニキ、ちょっといい?」
寿一
「どうした?」
踊介
「さくらに何回もLINE送ってんだけど、全然既読になんなくてさ…さっき、やっと返事返ってきたんだけど、見てこれ」
スマホの画面を見せる踊介。
LINEの画面
踊介のメッセージ
『さくらは今何してるの?』
『親父が荒れてる』
『先行き不安』
『さくら寝てるの?』
『今、茨城入った』
『さくらも来ればよかったのに♡』
『SAのご飯って謎の特別感あるよね』
『さくらはSAでいつも何選ぶ?』
さくらのメッセージ
『既読』
踊介
「わざわざ既読って送ってくるってことは…」
舞
「うるせー!って意味だよ」
寿一
「だって!」
踊介
「えっ?!」
最高!ここは笑っちまった!
『既読』って返す人いるのか?!
これは新鮮!
○潤 沢
新曲『秘すれば花』の作詞:なかにし札
作曲:筒美洋平
少年ジャンプみたいなパロディしてる!
くだらなすぎてオモシロイ。
第八話
○観山家・食卓
踊介の食事当番の日。ローストビーフを作る踊介。
寿一ナレーション
「そして今更だけど、ローストビーフ…不味い。噛んでも噛んでも味がしない上に、肉の旨味がどこにもない。まるで、使い古しの熱冷まシートを噛んでるみたいな無駄な弾力。顎に時給を払いたいくらいだぜ」
寿一ナレーション
「出たぁ〜さくらの得意技。濡れた目でだんまり。ウエッティだんまりホールドぉ〜!」
○観山家・外
さくらを見送る寿一。
さくら
「おうち着いたらLINEします」
二、三歩進み、振り返り腰元で小さく手をふるさくら。
はにかみながら小さく手をふる仕草にやられる。
○病院
能の稽古中に踏ん張れず、倒れる寿一。
長州、レントゲンを見て、
長州力
「あぁ〜切れてるな?ねぇ先生?これ、切れてますよね?」
毎話、毎話、趣向を凝らして長州力に【キレてるキレてない】を言わそうとするクドカンの遊び心が溜まらない!こんな遊びを仕掛ける脚本家はなかなかいない!
そして、この病院の先生が佐藤隆太。長瀬くんがラストドラマということで、IWGP組を共演させるのも嬉しい遊び心。
○観山家の居間
舞の旦那が、新大久保店のホールスタッフである背脂ちゃんと浮気していると…
インスタの縦読みをサラッと軽く取り入れるクドカンの感度の良さも素晴らしい。
さらに加工アプリで、背脂ちゃんの太った顔の輪郭をガッツリ削っているのも見せてしまうという、あるあるをサラッと紹介するあたりも素晴らしい。
第九話
○タクシー車内
座席につけられたテレビ画面の広告動画。
リクナビ改め『リキナビ』
長州力
「契約?切れてないですよ!」
そしてパワーホールの激似サウンドが被さる。
ホンモノは著作権の問題なのか?長州力本人なのに、なぜか使えない…。
長州力のキレてないを言わせる安定の仕掛けが素晴らしい。
○公園
さくらと、ユカと、ユカの現旦那と子供。
ユカ
「育児休暇取ってくれてんねん。1年間スケジュール空けて」
さくら
「いい旦那さ〜ん」
ユカ
「全部やってくれんの。育児はもちろん。料理も洗濯も掃除も全部」
旦那
「好きなんだよ家事。仕事は誰か代わりがいるけど、ユカちゃんのパートナー僕しかいないしね」
さくら
「わたし無理。なんだろ〜無理。これはこれで無理。いまの時代には合ってるんだろうけど無理。意識高いんだろうけど無理。感覚的に無理。よその旦那さんなら最高だけど、自分の旦那には無理」
ユカ
「何回無理っていうの?」
さくら
「ずっと家にいるんですか?働かないで?無理〜!落ち着かない!2ギガで充分。むしろ2ギガがいい!ゴメンナサイ」
コロナ禍でリモートになることにより、旦那がずっと家にいることによる弊害の話を聞くが…その辺をサラリと軽く入れてくるのはいい。
○観山家
親父の墓碑銘を…
長州力
「吹雪院親不孝革命居士でどうだ?」
無駄に長州力を多投してる気が…確かに長州力に何やらせても面白くなるから重宝するのだが、長州力に逃げてるようにも感じられる…。滑舌が悪い長州力が、漢字ばかり並んでるのを読んでるだけでオモシロイはオモシロイんだけど…。
最終回
これで長瀬智也を表舞台で見られなくなるのかと思うと、とてつもなく哀しい気持ちになる。
これで終わりなのかぁ…
これで終わりなのかぁ…
かなしい…。