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ザ・商社のABBAッキオのレビュー・感想・評価

ザ・商社(1980年製作のドラマ)
5.0
 1980年NHK4回の連続ドラマ。松本清張原作「空の城」、和田勉演出、大野靖子脚本で、総合商社の下位に位置していた安宅産業が事実上倒産、吸収合併された実話をもとに、国際的な石油産業への参入を図る優秀な商社マン・上杉(山崎努)の野心と挫折を中心に描く。
 リアルタイムで見て高校生の自分が衝撃を受けた作品。先日の深夜の再放送で自分にとっては今見ても最高のドラマだと再確認した。出演者、脚本、演出、すべてが素晴らしい。江坂産業の社主で芸術サポーターに13代目片岡仁左衛門、彼に見出され、愛人となるが後に上杉を愛するピアニストに夏目雅子、夏目の元恋人で上杉の事業の裏面を追うジャーナリストに勝野洋、他に佐藤慶、中村玉緒、水沢アキ、大和田獏、森本レオなど印象に残る。山崎の英語は流ちょうで当時の商社マンという役柄にふさわしいし、夏目雅子の美しさは際立っている。名台詞も連発で、最後にカナダで「日本人か」と問われ、沈黙の後で「ノー」と答える山崎のセリフまで一部の隙もない。昔が良かった、とばかり言いたくないがこの密度のテレビドラマは今の日本では望むべくもないだろう。
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