ゲイリーゲイリー

テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく シーズン2のゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

3.5
シーズン2はメンタルヘルスを中心にストーリーが展開されていく。
イップスやパニック障害といったものから、毒親との軋轢、セカンドキャリアの模索といったものまで。
このように幅広い問題を扱っているにも関わらず、各キャラクターにスポットライトを当てることで、ストーリーは乱れることなく前シーズン同様のユーモアと小気味良いテンポを維持することに成功している。

また今シーズンでは、前シーズン以上にラッソを中心としたメインキャラクター達のパーソナルな部分を深掘りしており、これまで以上に彼らを応援したくなるはずだ。
個人的には今シーズンから登場するドクターシャロンのキャラクター、そして彼女とラッソの関係性が特に良かった。
ある意味鏡写しのような彼らが次第に心を開いていく過程は、対話の重要性、人を信頼することによって得られる恩恵などが詰まっており、誰かに心の傷を見せることがどれほど大切なことかを垣間見た気がする。

スポーツという勝敗が全ての世界では、自身の弱みを認め開示するという行為は無縁かもしれない。
しかしだからこそ本作はリッチモンドのメンバーを通して、スポーツ界においても如何にメンタルヘルスを重視すべきかを描いている。
弱さを認めることこそが己の傷を癒し、次へと進むための第一歩となる。
また、そうした心の内を開示することによって得られた絆は、何にも変え難いのだということをリッチモンドのメンバーたちを見て再認識させられた。

その一方で自身の弱みを受け入れられなかったケースについても、本作は真っ向から描いている。
傷ついた被害者は、傷ついたという事実をきちんと消化できなかった被害者は、加害者へと転じうる。
自らの力を誇示しようと周囲の人々を傷つけ始めるのだ。
シーズン3以降からも目が離せない。