柏エシディシ

テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく シーズン3の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
昨日、2023年12月9日第103回天皇杯決勝戦。
我らが柏レイソルは川崎フロンターレに敗れ、惜しくも悲願のACL出場ならなかった。
この2年間苦渋を味わい続けた選手たちとレイソルサポーター。
解き放たれた様な冬晴れの下、贔屓目もあるが、プレーの内容も応援でも相手を圧倒していたと思う。
しかし、それでも届かなかった。
この日もチームを何度も救ったGKマツケンがゲームの勝敗を決するPKを防がれるという"物語"
正直、今、自分の心はサッカーの神を呪い、サッカーという競技を憎む気持ちで一杯だ。
さて。
期せずして、先日、ようやっと「テッド・ラッソ」を完走していた。
良いドラマであった。
ドラマ故の、多少の"ドラマティックさ"はあるものの、モダンサッカーの影の部分(スーパーリーグ構想やゲイアスリート)に言及しつつ、現代社会の病巣や問題にもさりげなく触れ、あくまでも陽性のコメディとしてしっかり笑われせ考えさせられた。
カリカチュアされた「アメリカ的ポジティヴィティ」の塊、ラッソの求心力こそが本シリーズの最大の魅力で、それに触れる人々が変わっていく様がサッカーという競技の魅力の本質とも相待って絶妙。
そして、そのポジティビティの"反動"をネイトというキャラクターに託して相対化してはじまったシーズン3。
ネイトの自己変革が単縦に女性がきっかけという顛末にはやや物足りなさというか手緩さも感じない事は無かった。
また、前述の理由で、サッカーにアイロニカルな思いをはらんだ今の自分には、何とも素直な気持ちで振り返られない思いもある。

どうやら、自分はロイ・ケントの様に変わり切れないFuck野郎らしい。
現実はドラマや映画の様にはいかない。
それでも、時間がかかっても、前を向き直る力を、この物語がもらえるかもしれない。
そう、そのうちに。
今は憂鬱の汚泥にくるまり沈み込んでいる。
柏エシディシ

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