なべ

真夜中のミサのなべのレビュー・感想・評価

真夜中のミサ(2021年製作のドラマ)
3.8
 マイク・フラナガンの新作ドラマきたーーーー!
 毎日1話ずつじっくり観るつもりが、立ち上がりがノロノロとしてるので続けて観てしまい、気がついたら最後まで一気見!
 今回のフラナガンはキリスト教の罪と罰がテーマかなと思ったんだけど、さにあらず。田舎+宗教の排他的不寛容と妄信の話だったー!うげーーーー!
 ホラー度は低く、ヒルハウスの首折れ女みたいなのは一応出てくるけど、全然怖くない。でも、夜のイルミネーションが妖しく反射する遺体表現は新しい。美しくも悍ましい新感覚の怖み。いや、怖みより厭みか。
 とにかくこの物語はとてもいや〜な感じなのよ。ほら、選挙シーズンになると友だちヅラして電話がかかってくるあの宗教や、洗剤や浄水器を友だちに「これはあなたにとってとてもいいことなの」と売りつけにくるあのマルチの会社があるじゃん。あの厭さ。
 主にベヴァリーって女性が一手に不快を引き受けてるんだけど、この毒気がすごいんだ。こちらは傍観者なのに沸々と殺意が湧くからね。嫌いやわあ田舎者。厭やわあ狂信者。
 ヒルハウスを期待してると肩透かしを食うけど、小さな島を舞台に繰り広げられるエゴと奇跡と盲信の話はなかなか楽しめます。
 フラナガンのこだわりポイントなのかもしれないけど、エリンとライリーが死後の話を延々と続けるところでは退屈してしまい「いつまでくっちゃべっとるねん!」とイライラしたし、後半、厭描写のネタが尽きたのかややダラけてくるけど、1話60分強×7話ですっきり完結するので、無事最後まで完走。長丁場なドラマが苦手な人にもおすすめできるサイズです。

 都合のいい解釈がよくない結果を招くのは、昨今のアンチワクチン派の主張なんかと重なるところもあり、世にはびこる陰謀論者は皆ベヴァリーなんだと妙な確信を得た。膨大な引用元となる聖書を悪しき見立てで破滅へと導く盲信者の最期を見るがいい!
 ヒルハウスより劣るが、ブライマナーよりはおもしろい。マイク・フラナガンのあっさり目のホラー、「真夜中のミサ」をどうぞよろしく。
なべ

なべ