かじドゥンドゥン

クイーンズ・ギャンビットのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
3.8
1960年代のアメリカ。優秀な数学的頭脳をもちながらも、精神に破綻を来たして死んだ母。その娘は孤児院で、用務員からチェスの才能を見出される。院内で知った向精神薬の濫用や、養母にならった酒浸りの生活が続く一方で、彼女はチェス・チャンピオンとして身を立て、ソ連での決戦に乗込む。

冷戦下でチェスという競技が発する重圧を一身に受けながら、天才と狂気のあやうい均衡を保って、一人の少女が成り上がる。8×8マスが一つの宇宙だとして、一人の人間がその一生を懸けるには、狭すぎはしないか。チェスがすべてと決め込んだ人間が、ボードの外に広がる世界にたえず翻弄され、しかしそれによってあらためて盤上の真理を再発見する物語。