才能と代償。
天才と狂気が表裏一体という事を上手く描けていた。
何より狂気に陥ることを恐れながらも、酒薬などから抜け出せずもがき苦しむ心理描写と主人公ベスを演じきったアニャ・テイラー=ジョイの演技力が特に素晴らしかった。
特にどこにいようと何をしようと孤独感に苛まれ、亡き母親の幻影に苦しむベスの表情と心ここに在らずといった表情が抜群に良かった。
チェスのシーンなどは視聴者に飽きさせないように様々な工夫が凝らされており、チェスに詳しくない私でも充分に楽しめた。
(薬を服用後に天井から逆さの盤面が見えるシーンは特に好き)
また50年代から60年代にかけてのインテリアや服装がとても目を引いた。当時の文化を見事に再現しつつも、それらをスタイリッシュに見せることに成功したスタイリストやBGMも見事。
チェスを題材としながらも根幹は、意外なまでにまっすぐなヒューマンドラマである本作。
誰の心にも刺さるものがあるからこそ、本作はここまで評価を得られたのであろう。
やはりNetflixのオリジナル作品は侮れない。