ちゃんた

クイーンズ・ギャンビットのちゃんたのレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.2
孤児院育ちの女性が、用務員さんにチェスを習い、幼い頃からその才能を開花させる。チェス界のスター街道を登っていく一方で、そのプレッシャーや生い立ちに悩んで苦しみながら成長する姿が描かれている。ストーリーとしては非常に王道だけども、チェスを知らない人にもその魅力が良く伝わる内容になっていたと思う。実際にアメリカでもチェス盤の売り上げが上昇したらしい。

私はチェスをやるので結構チェス関連の映画を見るんだけども、どうしてもチェスには暗い歴史がつきまとうようだ。確かにチェスは米ソ冷戦の代理戦争となっていた一面もあるけど、創作なのだからもっと楽しい話にすればいいのにと思ってしまう。まあこういう話の方が人気があるってことなのかな。ちなみにこのストーリーは、ボビーフィッシャーという実際のチェスプレーヤーの人生に影響を受けている感じなので、興味を持った方は映画化されたものもあるので調べてみるといいと思う。

そんな訳で暗めの映画なんだけども、印象に残っているのは主人公を演じたアニャ・テイラー=ジョイのチェスをしている姿。気品というか妖艶で勝負師としての顔がカッコよくて良かった。頭の中で考えている状況が可視化されてるのも相まって、チェスプレーヤーのかっこよさを上手く表現出来ていたと思う。

あと印象に残ったというか意外だったのは、アメリカの制作映画なのに、どちらかと言うとアメリカがソ連憎しで政治的な動きをしていたのに対して、ソ連がクリーンで紳士に描かれていた点。だいたい米ソ冷戦の映画はソ連が卑怯な手を使ってきて、アメリカは正義の味方的な描写が多いのに、この作品では真逆だったように感じた。

なかなか闇の深い感じもある作品で、見ていて疲れるところもあったけども、全体通して面白い作品だった。
ちゃんた

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