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ジェイン・エアのtaruponのレビュー・感想・評価

ジェイン・エア(2006年製作のドラマ)
4.0
BBCのドラマ版は、ルース・ウィルソン&トビー・スティーブンスのこの2006年版とズィーラ・クラーク&ティモシー・ダルトンの1983年版がある。
今回両方ともみたので、フィルマークスにはアップされていない1983年版の感想も一部交えながら。
(ちなみに、1983年版は日本語訳がついているDVDは、なぜかオリジナルより1時間程度短いため、何度も原作を読んだからOKだろうと英語版のみのオリジナルの方をみたため、細かいところは私の語学力では不明です)

2006年版は、約50分×4回のため、映画と比べると、セントジョンとの出会いもはしょることなく、きちんと描かれている。
そのため、原作にはない夢や回想、風景等を象徴的に使いながらも、単に不幸な少女が恋する話や女性の自立の話などにテーマを絞ることなく、原作本来が持つ信仰と感情の対比も踏まえつつ、お互いをありのままに受け入れる対等の愛を得ることにより、精神の自立を手に入れる女性像を描いている。
この風景や小道具、夢を挿入しながら、それで心象風景を表すのがかなりうまく機能している。たとえば、ジェーンの外の世界への憧れを、小さい頃繰り返し読んでいる本を旅行記にすることで見せていたり、ソーンフィールドを飛び出した後も、石だらけの荒涼とした風景や見る夢でジェーンの心情を象徴して表現したりしている。また、ソーンフィールドの塔の窓から見える赤いスカーフも、バーサの存在を象徴するものとして見せている。
(1983年版はこれよりも、2時間近く長いため、かなり原作に忠実に描かれていて、ゲーツ・ヘッドの女中のベッシーやローウッド学院のテンプル先生の存在等も描かれている)

キャストは、トビー・スティーブンスのロチェスターは一番好みかも。
ルース・ウィルソンは、意思の強そうな感じが良い。
(ちなみに、一番ジェーンっぽいということでいえば、1983年版のズィーラ・クラーク。ティモシー・ダルトンはワイルド感があってロチェスターっぽさは感じるが、好みでいくと甘さのあるトビー・スティーブンスの方が好き)

2006年度版は2011年の映画と同じくソーンフィールドには、ハドンホールをロケ地に使っていて素敵なのだが、ゲーツヘッドも印象的。これはどこなんだろう?リード夫人の寝室のシノワズリーな感じがとってもよいんです。

原作のあるものは、原作の意図をある程度反映されることを考えるとどうしてもドラマ化の方に軍配が上がるし、映画化だとどうしても監督視点での切り取り方再構成がどこまでうまくできていたり、共感できるかにより評価が変わってくるなと、ジェーン・エアものを集中してみて改めて感じた次第です。
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