一つ一つの話が「今」を語るのに大事だし、それぞれの問題も教員をやっている僕にとっては「とても大事」なことなんで、観ていて楽しいし生徒にも見てほしいドラマ(ただ学生はあまりに忙しいものが多くむやみに薦められないのがもどかしい)。
第1話
メイン二人の悩み。大事なのは教養。たまに思うのは江戸の花魁なんかを「身売り」の一言で片づけて非難してしまう人について。それに関して非難している人はどれだけ「知っている」のか。
第2話
好きな話。映画は見ている間は「自由ではない」。 僕らにとって自由はひょっとしたら偉大な敵かもしれない(この作品ではキュルケゴールをあげているが僕にとってはE.フロムのがしっくりくる)。
第3話
こんな女子いるのかしらん。全話の中ではちょっと入り込めなかった。
第4話
人間は「善」なのか「悪」なのか。悪であるという意見も極論な感じもするがそれでもそこに抗えない「何か」がある。またある意味「悪」は大事かもしれない。性善説か性悪説か。どっちもあるんだっていう解答は逃げかしらん。
第5話
自分はどこまで自分なんだろう。内田樹なんかは心身二元論を少しだけ否定しているけど、僕も同感。「体」あっての「自分」でもある。
第6話
今作での白眉。どれだけ僕らは「言葉」優位の社会にいるのだろうか。「言葉」はまた作られた制度でしかない。
第7話
これも好き。というか最後の三木清の言葉が響く。「常識は一番の信仰でしかない」。その通りなんだ。「今の常識では」「今の感覚から」これが錦の御旗になってはいけないと思う。
第8話
最後はエモく持ってきた。デカルト的な(あるいはプラトン的な)「対話」から人が人を好きになるってのはという恋愛論まで(これに関しては僕はプラトンより吉本隆明的な「対幻想」の考えがしっくりくる)。最後結論が出ないのもいい。大事なのは過程だ。
見ていてまた考えるドラマ。そしてまた哲学が読みたくなってくる。たまに哲学の本を読む。全く頭に残ってない時が多いのだけどそれでも読んで考えている時間が好きだ。