生徒を救いたい。でも自分の善は他人の善とは限らない。初めはスーパーヒーローだったけど、第４話からそんな苦悩が前面に押し出されてきた。学校という表の世界で自殺未遂を繰り返していた子は、ジュダの住む裏の世界で救われた。優しく触れ合うことを求める子には触れられず、自らを傷付けることで生命を感じている子には立ち尽くすだけ。何十時間も倫理の授業に割いても、一瞬のハグには敵わない。500円玉なのは学校の授業じゃないのか。高柳はどこまでも無力だった。スーパーヒーローなんかじゃない。悩める弱き男にしか救えない人達がいる。
人は他者との接点が無いと生きられない。だから、何か人にしてあげたいし、何かして貰いたい。何かを得るために行う事は打算的な悪の行為なのだろうか。無償の愛など存在するのだろうか。金銭は求めなくても、尊敬は集めたい。よく自らの子には無償の愛を捧ぐと言われる。確かに無垢の赤ちゃんには際限なく愛を注ぐだろう。しかし、年齢と共に関係が悪化する親子など五万といるではないか。結局、見返りが無いことに腹を立てている。善を押し付けると悪になる。所詮、善とは自己満足でしかないのではないか。反対側から見れば、こちらの善は向こうの悪。分かり合えれば、悪と善という概念も不要になるのかもしれない。決して確認することなど出来ない相互理解を求めて果てしない旅が続く。だから人々の悩みは永遠に続く。
