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ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪 シーズン1のIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

4.8
本来であればシーズンが完結してから総括したレビューを上げるべきであるが、本レビューを目にした方が一人でも多くこのドラマを鑑賞してくだされば…との思いからこのタイミングでレビューをする。

まずJ.R.R.トールキン教授の創り上げた世界を、圧倒的な完成度を誇る『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』シリーズの後に臆することなく実写化したAmazonスタジオ・制作陣には心よりの感謝を。

最高のファンタジー小説である指輪物語に連なる作品群、それらにコアなファンが星の数ほどいるからこそこのドラマへの批判もあり、例えば一部設定(特に目にするのはキャストの人種と原作の設定との差異など)について異論がある方も多数居られるかと思うが(原作を愛するからこそのご意見であることは重々承知している)、この際小言は胸に仕舞われたい。

『ロード・オブ・ザ・リング』公開から実に二十年、こうして中つ国を再訪できることこそが、胸焦がれる幻想の一部となったかのような素晴らしさなのだから。


と言いつつ一つ申し上げる。
(小言は胸に仕舞えといった矢先に…)

映画『ロード・オブ・ザ・リング』では、遥か遠く"中つ国"の世界を、ほのかに淡くあえて少しピントを合わせきっていないような幻想的な映像で描けていた。
風景も衣装も、精巧に仕立てながらもあくまで控えめで落ち着いた色味になっていた。

しかし、ドラマ『力の指輪』ではそれらがあまりにも彩り豊かで鮮やかすぎる。
ファンタジーの幻想的な一面にはっきりピントを合わせすぎて詩情がない。
映像技術の目覚ましい発展によるものだとは理解しているが、幾分趣に欠けるのではないか?

…と感じていたが、話数を重ねるほどにその鮮やかな中つ国の美しさの虜となる。
(要するに、結局は最高であるということ。)

初回配信は2話同時配信であったが、実に英断である。
この壮大な世界観を丁寧に語ってゆくのだから、初回からアクセル全開でとはいかぬのである。
第1話を観て次を観るか迷った方、とりあえず第2話までは観ていただきたい。

5シーズンに渡って紡がれる予定の中つ国第二紀の物語、今シーズンだけではまだまだ評価は定まらない。
いつまでも愛されるシリーズになることを祈りつつ、今後の展開を心待ちにしたい。


(2022.10.14追記)
シーズン1(全8エピソード)鑑賞終了。
LotRの1作目を観終えた時のような、次への圧倒的な期待感が私の心を支配した。
物語の導入のシーズンとして素晴らしい出来だった。