ソウキチ

First Love 初恋のソウキチのレビュー・感想・評価

First Love 初恋(2022年製作のドラマ)
5.0
映像はリッチかつ最新のクオリティなんだけど、完璧なタイミングで神曲がかかる古き良き月9メソッドを踏襲してて最高。

潔いほどにベタというベタをやりつくしたこれまた月9的な脚本と、いかにもネトフリ的なスカした映像とが新感覚のグルーヴを生み出すことに成功していました。

90年代後半〜00年代の空気感を的確に映した過去パートの撮影が本当に美しく、明らかな参照元であるウォン・カーウァイや岩井俊二らの質感とZ世代的な"エモ"の親和性も高く、宇多田ヒカル直撃世代だけでなく広い世代に受け入れられる作品になっていたんじゃないでしょうか。

そしてこのドラマで一番評価したいのが、固有名詞や版権キャラクター(カビゴン)、劇中劇の映画作品、漫画、ニュース映像や果てはアダルトビデオのタイトル(小倉由奈)までほぼすべて実在の素材が使われていたこと。ここに惜しみなく予算をかけることで作品の時代性とディティールを飛躍的にあげることに成功している。(タイタニックとセリーヌ・ディオンには驚いた!)
個人的にこれらディティールの底上げこそ日本のドラマや映画の急務のひとつだと考えているので、その意識の高さに感服しました。

もちろん俳優陣の素晴らしい仕事も見どころ。
主演の1人である木戸大成はゴリラになる前の市原隼人を彷彿とさせる瑞々しさで既にスターの風格がある。最終話直前の最高にベタな三枚目演技を完璧にやってのけた夏帆と濱田岳の職人芸にも拍手を送りたい(夏帆の演技はもう見てるだけでお腹痛くなる領域)

そして何よりも満島ひかり。泣きの演技は間違いなく現状日本一でしょう。
もはやジャンル化しつつある「女優が泣きながらメシを食う」いわゆる「泣き飯」シーンでは王者の風格でした。
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