りょー

First Love 初恋のりょーのレビュー・感想・評価

First Love 初恋(2022年製作のドラマ)
4.2
【あらすじ】
「どんな出来事も、人生にとってはかけがえのないピース。でも、もし大切なピースを無くしてしまったら?」
フライトアテンドを志すも不慮の事故で運命に翻弄される野口也英と、航空自衛隊のパイロットになるも、現在は別の道をすすむ並木春道。宇多田ヒカルの楽曲と共に、2人の”初恋”の謎が、90年代後半、00年代、現代の3つの時代から紐解かれていく……。

【感想】(試写にて5話まで)
あなたは《喪失》とどう向き合うのか?
極上のエモとロマンスが詰まった邦ドラマの傑作!であると同時に、宇多田ヒカルの『First love』、『Automatic』から『初恋』までの楽曲が中心となったプレイリストムービーでもあります。

若手からベテランまでキャスト陣は実力派揃いで、どのシーンをトリミングしても見応えが半端ない!加えて、音響、照明、美術、脚本……どれを取っても満足度高めです。邦画の情緒に訴えかけてくるエモさや言語化しづらい国民性が、現代っぽい演出と良い塩梅でミックスされてる。

直感的には、劇的or悲惨な韓国映画っぽいテイストでもなく、モダンなアジアンテイストにしっかり日本の味が練り込まれてる感じ。色彩や構図で言うなら、和製A24なのかも!くらい。仔細は全く知りませんが、「Netflixオリジナルドラマ」という土壌がかなり良い方面に出てる気がしてます。

今なおヒットチャートに名を連ねる宇多田ヒカルの名曲に、具体的なストーリーが肉付けされていき、1曲の重みや見え方が変わって来る。最近では、とある曲やアーティストを標榜した映画作品が多い印象ですが、時代設定や登場人物、社会問題、因果関係等。描くものも多い反面、長尺のドラマでやる分、複雑なそれらをどう本筋に乗っけていくのかとても楽しみです。


「どんな出来事も、人生にとってはかけがえのないピース。でも、もし大切なピースを無くしてしまったら?」

本編の台詞。本編を観れば無くしてしまったのがどういうピースだったのか、1発で分かるのですが、もっと抽象的な面では、震災やコロナ禍によって生まれた《喪失》や《空白》とどう向き合うのか?或いは、どう肯定して、これからを、どう生きていくのか?

入口はロマンスですが、わざわざ時代設定に90年代〜現代を抽出しているのも、実はとてもとても大事なテーマを描こうとしている気がしてなりません。


あと純粋に『First love』の破壊力が凄まじいの。アレ流れるだけで、なんかもうグッときちゃうよね、うん。喜怒哀楽のどの表情だって、そりゃ合いますよ。

予告だけでもエモいので、まずはカップ麺の待ち時間にでも是非。
りょー

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