サンタフェ

サンクチュアリ -聖域-のサンタフェのレビュー・感想・評価

サンクチュアリ -聖域-(2023年製作のドラマ)
3.7
7-8話は文句なしに面白かった〜!

とにかく役者さんの”相撲感”が素晴らしくスーパースローカメラを駆使した映像も素晴らしい。AppleTV+のスワッガーといい、映像の進化とバジェットの増加で素晴らしいスポーツドラマが増えてるのは嬉しい限り。

ただ一方で本筋の相撲描写は素晴らしいものの、やけに社会派テーマを入れてくる感じや、やけに殺伐とした空気感、やけに露悪的で汚い描写が目立つ、あたりがノイズになるのはいつものNetflix Japanって感じでした。1話で無駄に強調してた相撲界の闇みたいな部分もシーズン1の締めと全く関係ないし、素直にスポーツ漫画的な面白さを突き詰めて欲しかったです。

また、主人公が心を入れ替えた7話からは文句なしに面白かったのですが(たしか静内の謎が明らかになるのもこの話だったかな)、そこまでの展開が遅い上にずっと正直不愉快な展開が多いので、7話を3話でやってほしかったという気持ちがありました。

才能があるけど不真面目な主人公が改心して覚醒する展開は映画だと改心をクライマックスに持ってきてもあまり違和感はないのですが、連載ですと1話か2話の次元の話って感じがしてしまうんですよね。連載形式だとどうしても全員が本気でやっている状態で尚超えられない壁をいかにして超えるかというレベルを描いてほしいと感じてしまいます。

まぁこの辺はまだまだドラマは漫画やアニメと違って、1話ではなく1シーズンが1映画のような感覚が製作側にあるのかもしれないですね。物語の波の数というか。

とはいえ、役者さんと映像のクオリティは総じて高かったので、そろそろNetflix Japanさんは問題作を作ろうという逆張り精神から脱却してほしいですね。

舞妓さんちのまかないさんでも感じましたが、前半はやたら社会派視点や殺伐としたエピソードばかりなのに、後半は本筋のエンタメ要素に集中するのは連載作品の構成として悪手にしか思えないんですよね…。本作も序盤があまりにも人を選び純粋に”楽しくない”ので作品を好きになるのに無駄に時間がかかってしまう印象を受けました。最後まで観れば面白いんですが、どうしても例えば人にお勧めするとすれば「序盤は耐えて!」みたいな印象になっちゃう。

逆張り精神や問題作作風は、いわば弱者の逆転ホームラン狙いの戦略なわけです。しかし現実にはそもそもこのレベルのクオリティと資金力で相撲ドラマを作れる媒体が今日本に存在しないのですから、最近の本国Netflixオリジナルのように圧倒的な資金力とエンタメ一直線で殴る王道作品を作ってほしいものです。
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