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サンクチュアリ -聖域-のバナバナのレビュー・感想・評価

サンクチュアリ -聖域-(2023年製作のドラマ)
4.2
サンクチュアリ(聖域)とは角界のこと。
全8話からなるドラマだが、第1話は相撲部屋の“かわいがり”のシーンから始まるので、暴力シーンが苦手な人はここでめげずに観続けてほしい。

主人公の清が“かわいがり”を受けても、全く可哀想ではない。
清役の一ノ瀬ワタルさんは、これまで金髪の悪役ばかり演じていたが、今回もかなりのワルだからだ。
故郷の博多では家庭崩壊のせいもあって、名うての不良だったが猿将部屋からスカウトされる。
親の借金もあり、父親に楽をさせたいと心の底では健気な気持ちから角界に入ったものの、生来の負けん気の強さと地元では負け知らずだった自負から、素直にもかわいくもなれず、先輩からイジメられる日々。
しかしやはりケンカのセンスに優れているので、相撲の勘も良く、すぐに強くなっていく。

自力で強くなっているうちはすぐ自惚れて天狗になってしまうが、同じく家庭環境で難があった巨漢の静内が目の前に立ち塞がる。
その他に、親の代から続く龍谷部屋のプリンス龍貴など、今後もシリーズが続きそうなライバルも現れる。

本作で面白かったのが、染谷翔太が相撲大好きで自ら弟子入りしたものの、体格も実力も無く、後に“呼び出し”に転向する力士役で、第一話では同じく“かわいがり”の餌食になる新米力士を演じていたのでビックリ。

本シリーズでは天狗になった猿桜(清)が、一度はコテンパンにやられるものの、今度はしっかり努力して立ち直るところまでが描かれている。
私はボクシングなどのスポーツ物の作品で、主人公の練習シーンがほとんど無いのにいきなり強くなる映画などは萎える原因となってしまうのだが、本作ではこれまでの悪ガキから地道に努力する姿を丁寧に描いており、
清が相撲道の深さを知ってからは自ずと礼節も備わってくるところや、
先輩が怪我のために自分の部屋で引退する儀式のシーンを長く撮っていたところも、Netflixは世界中に配信されているので、海外にも相撲道の奥深さが少しでも伝われば…と思う。

私の同級生で、中学生の頃めっちゃ悪くて地元では有名な不良だった人が、中学卒業後に角界に入って幕内までいったものの、病気で30歳で亡くなった人がいる。
その人のイメージや、一時整体師の言うことにハマっていた横綱など、角界の色々な噂やイメージを脚本に練り込んでいる様に思う。

一度見始めると一気に8話まで観てしまったので、きっと第2シーズンも作るだろうと思っている。楽しみにしています。
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