HicK

サンクチュアリ -聖域-のHicKのレビュー・感想・評価

サンクチュアリ -聖域-(2023年製作のドラマ)
4.1
《アウトロー。スタイリッシュ。生々しい》

【全体】
朝青龍?「龍が如く」?
そんな雰囲気を漂わせてる。ヒリヒリした物語が良かった。主人公の小瀬に対しては、理解できる部分と呆れてしまう部分が交互にやってくる感じ。周りのキャラと同じような感覚で彼を見てた。脇キャラでもほぼ全員に大小の背景やドラマがあって、主人公の成長とともに進展していくのが面白かった。最も好感がもてた点は相撲の見せ方。カッコよかった。

【小瀬と国嶋】
主人公・小瀬と担当記者・国嶋。いつも周りにイラついている問題児。知りもしないのに不満ばかり。似た者同士。面白い設定。それを逆手にとって、実は周りにコントロールされてるところもクスッとさせられる。(ピエール瀧と田口トモロヲのワザとらしく彼らの怒りを誘うような演技が良かった)。似ているからこそ、小瀬の成長=国嶋の成長に繋がっている点もすんなり理解できた。

【気になる龍谷部屋】
岸谷五朗演じた龍谷親方の厳し過ぎる姿勢は、親としてのものなのか、宗教に洗脳されているが故なのか、最後に曖昧になってしまったのが少しだけ残念。かなり親子間のドラマに興味を持っていたので。それも含めて龍谷部屋のエピソードは、かなり主人公の物語とは切り離されていたので続編要因なのかな?。でも、八百長から宗教まで辿っていく物語はちょっとワクワクした。

【その他】
余貴美子演じた母の回想シーンと現在があまりにも違う人間。いくらなんでも。

小雪演じた女将にもう少し人間味があればなぁ。彼女が小瀬を庇ってあげた直後の彼の悪態に関しては愛あるビンタでもして欲しかった。

ただ1番の要求は、元小結の猿谷をもっとメインキャラにして欲しかった事。最後、こんなに重要な役どころになるなら、もっと小瀬との絡みや彼のドラマを見たかった。最終回で更に感極まったと思う。

【ベストシーン】
☆最優秀賞
・『スローモーション相撲、全部』
ダイブ、汗、砂、動く肉、全部好き。

☆ノミネート
・『一個しか食べてないギョウザ』
・『父親からのダンボール』
・『「教えて下さい!」』
・『タニマチ、ボッコボコ』
・『「酒くれるか?』で察した猿谷奥さん』

【俳優陣】
☆MVP
・『一ノ瀬ワタル』
もちろんです。いい意味で腹立つ演技。小瀬が憑依してる。

☆最優秀助演賞
・『猿河(体毛が濃い力士)役の人』
人間味が半端ないw。色んな表情、良かった。

☆助演ノミネート
・『笹野高史(龍谷部屋タニマチ)』
黒幕感、ヤバい。笑顔の凄み。さすが。
・『佳久創(龍貴)』
クリスチャン・ベイルと鈴木亮平もびっくりのボディメイク。今は元に戻したみたいなので続編あったら可哀想だな…。

☆特別賞
・『猿谷の奥さん』
やっぱり「酒くれるか?」で引退を察した表情、グッとくる。最終回の顔も良かった。

☆ベストキャラ
・『猿空(猿谷を尊敬するSNSアンチコメ)』
同情してしまうw。

【総括】
キレまくり、グレまくる主人公。不満や怒りが原動力の脇役たち。そんなヒリヒリした世界観の中、心を締め付ける両親の物語。バランスやトーンが最高だった。なにより相撲の見せ方がスタイリッシュかつ生々しくてカッコいい。このアウトローな物語はTVでは見れない面白さがあった。
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