渋谷裕輝

バスケット・ケースの渋谷裕輝のレビュー・感想・評価

バスケット・ケース(1982年製作の映画)
5.0
『異形の兄といざ復讐の旅へ!でも女の子とイチャイチャもしたい…』

◆あらすじ
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ある医師が、何者かに襲われて死亡する事件が発生。犯人は、デュアンが抱えたバスケットケースの中に潜むベリアルだった。シャム双生児として生まれたデュアンとベリアルは、2人を切り離し、ベリアルを捨てた医師たちへの復讐を目論んでいたのだ…。(公式より引用)
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後述しますがこれは是非とも配信ではなく、円盤をレンタルなりして見ていただきたいです!

作品が面白いのはもちろんのこと、監督とその友人がロケ地を巡る特典映像が最高過ぎます。

“結合双生児の兄弟が自分たちを切り離した医師たちに復讐を果たす”

という非常に分かりやすい内容で、突飛な設定ではあるんですけど妙に説得力があり、切っても切れない兄弟の絆の在り方に心を揺さぶられました。

とても考えさせられる作品でした。

医師の殺害は全てベリアルによるものです。汚れ仕事を一手に引き受け、目的遂行のためにガムシャラに襲います。しかし途中からデュアンは女にうつつを抜かすし、以前ほどかまってくれない。同じ目的とモチベーションでニューヨークまで来たはずなのに…。その辺りからベリアルはずっと考えていたのかもしれません。

復讐を果たした後もデュアンは自分と一緒にいてくれるだろうか。デートもしたいだろうしゆくゆくは結婚もするだろう。

その時に怪物の自分がいたら迷惑なんじゃないか…

でも一人では生きていけない…

窓から飛び降りた時、ベリアルの中で様々な感情が渦巻いていたのかもしれません。

ちなみにベリアルは主に人形とストップモーションアニメで構成されており、人を襲う際などはヘネンロッター監督自らが手袋をはめて撮影に臨んだそうです。
言葉を話すことはできませんが一番哀愁が漂ってるし、人間らしいです。デュアンが女性といちゃついているのを見たら僻むし、パンティーも失敬するし、我慢できずに夜這いもします。やり場の無い性欲の爆発が何とも辛かったです。

DVDには本編の他にNG集や監督へのインタビュー、そして「ホテル•ブロスリンを探して」という短編映像も集録されています。

この短編は監督と友人(自称ミュージシャン)が20年ぶりにロケ地を巡るという一見当たり障りのなさそうな内容ですが、ホテルのロケ地では監督の友人が「中に入れろ!」や「鍵を開けるだけだろ!」と建物の管理人と大いに揉めて結局入れなかったり、バーではゲストで登場したドノヴァン役の俳優に「あのセリフ言ってくれよ」と監督がしつこく絡み、挙句何度も同じセリフを言わせるなど自分たちのイメージダウンになることばかりしています。

ちなみにバーの責任者(一般人)が巨漢に大髭、小さ過ぎるチョッキ、胸ポケットには極太葉巻3本というどう考えても仕込みとしか思えないキャラの濃さでした。

このバーの責任者だけでも見て欲しいです。