Bobsan

バスケット・ケースのBobsanのレビュー・感想・評価

バスケット・ケース(1982年製作の映画)
5.0
これはもう「砂の器」ですね。何をバカなと思われるかもしれませんが、両作に底通しているのは"人の幸不幸を他人が決めつけてはいけない"というテーマです。まぁ、ヘネンロッター監督が松本清張を読んでいたとも思えませんが…。
和賀英良とハンセン病の父親は謂れのない差別を受けて故郷を追われ、放浪生活を送りますが、和賀にとっては父親と一緒にいられる事が何よりの幸せでした。しかしそこに現れたお節介な警官によって二人は強引に引き離されます。
ドゥエインとベリアルは結合性双生児として産まれましたが、兄弟でいつも一緒にいられる事が何よりの幸せでした。しかし見た目がグロテスクだという理由だけで父親と医師達によって強引に引き離され、ベリアルはゴミとして捨てられます。
彼らは何も悪いことはしていません。ただ幸せに生きているだけです。それなのに少し人と違うからと言って"普通"のレールに強引に乗せられてしまいました。その怒りは如何ばかりかと思います(なので父親が巨大な電動丸鋸で真っ二つになるシーンは異様な爽快感があります)。
人の幸不幸を他人が勝手に決めつけ、その人の気持ちを無視して天秤にかけるとこのような悲劇に繋がってしまうのですね。
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