このレビューはネタバレを含みます
【 〈霊・零〉から、〈築・気付〉いてゆく 】
まず何よりもストーリーが素晴らしい。“死んでもキミを守る”という究極のロマンを完璧に具現化しているからだ。ゴースト(パトリック・ススウェイジ)がそばに“居る”のに“居ない”を貫き通すデミ・ムーアやウーピー・ゴールドバーグの演技もお見事。写りゆく人や物の色が、くっきりと綺麗に映えている映像も最高だった。
極めつけは二度流れる、『アンチェインド・メロディ』だ。一度目に流れるときは亡くなる前のサムとモリーがろくろを回しながら愛を確かめているときだ。ただただエロかった。もちろん性的欲求を刺激するという短絡的な意味のみならず、愛し合う者たちの美しさが迸(ほとばし)っていた。まさに名シーンだ。
二度目はサムとモリーが“ゴースト・キッス”を交わしたラストシーンだ。あの演出や描写は鳥肌ものである。
まだ終わらない。ふたりの別れのシーンもそうだが、うるさくてインチキくさいオダ・メイの最後の温かさが心に沁みた。やはり、最後まで素晴らしいストーリであった。
死んでしまった愛する人が近くにいることを信じるか? モリーは愛を信じ、奇跡を起こした。霊から気付いたのだ。零(ゼロ)から築いたのだ。
だからボクも“同じく”、信じることにする。