八木

ゴースト/ニューヨークの幻の八木のレビュー・感想・評価

4.0
 面白かった。舐めてた。オダ・メイの扱いがひどすぎるとか、振りの部分がわかりやすすぎる脚本とか、完璧じゃない映画だとは思うんですけど、当時としてのチャレンジ精神とか、ロマンスとかミステリーとかコメディとか、エンタメを作る高い意識にあふれた楽しい映画だったと思います。好感度が爆発しながら見ておりました。もしこの映画を、ライチャス・ブラザーズをBGMにろくろ回す映画で、トレンディでバブリーな時代に消化されたロマンス映画だと思っていた僕のような方がおられれば、おすすめしたい映画です。

 この映画、人物の登場とかが結構唐突なんですね。別に、縁があってそこに発生してるわけではなくて、犯罪ゴロのプエルトリコ人だとか、インチキ霊媒師だとか、地下鉄の幽霊とか、話の中でスムーズな扱われ方してるとは言い難いんです。地下鉄の幽霊なんて、「意味があるよ!」っていう言い訳のためだけのカットで登場するの、文句言うつもりないけど、スタイリッシュではないのよな。
 有名なろくろ回すシーンにしても、モリーがアーティストやってるっていう設定があったから出てきただけで、別にそれ以降焼き物もアーティスト設定も生きたところないですし。そういう、言い訳の配置がわかりやすすぎる点が、手放しで褒めるのをためらわせます。

 でも、思った以上に復讐劇のスリラー感と気持ちよさが高まることと、『触れ合えない悲しみ』が振りとしてばっちり効いていることで、映画として面白いところが面白いんですよねえ。だからもう、これは、面白い映画です。
八木

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