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ボーイズ・ドント・クライのKAORInのネタバレレビュー・内容・結末

ボーイズ・ドント・クライ(1999年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

でも、嘘をつきすぎてしまったよね。
もちろん、嘘をつかせた社会がいけないのだが。

ブランドンがラナの周囲たちに受け入れられ始めてきたころの、ラナ母がブランドンをかわいがる様子をながめるジョンの、疲れていてもどこか親しげな、あたたかそうな、切なそうな笑顔がいちばんこころに残っている。あの瞬間がみんなにとっての最高のしあわせだったと思う。あの瞬間が、ブランドンが身の上を嘘だけでかためず深入りする前に告白できるチャンスだったと思う。でもそれは結果であって、まだ知らぬ土地の知らぬ人間に、ブランドンが繊細な問題を打ち明けるのは不可能だったよね。

ジョンたちも、ブランドンを『仲間』と認めたからこそ、このクソな土地でのクソな人生に、心許せる仲間が増えたと思った。だからこそ、あの事実が裏切りにも、今までの自分たちの人生から結局ふたたび馬鹿にされた、と感じたのだと思う。だからそれを終わらせた。みんな怯えていた。

ボーイズ・ドント・クライの『ボーイズ』は、きっと出てくる少年少女、みんなのことだろう。
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