このレビューはネタバレを含みます
あまりにつらすぎて直視していられません。男性なのに女性の体で生まれてしまったというだけで、恋人と引き離され、化け物呼ばわりされ、レイプされ、殺される。そのさまが基本的には映画らしく撮りつつも、ときにドキュメンタリー的なカメラのもとで撮られているから、あまりに生々しくて恐ろしい。こんな世界にはぜったいに行きたくない、関わりたくない、こんな場所はなくさなければならないと、ほとんど生理的に感じさせられます。
ところでこれが実話ベースなのを知らなかったのですが、それをラストに知ってそ 驚くとともに、ちょっと調べてみたら映画のなかでは特に理解がないふうに語られていなかった母親も現実にはブランドンを「娘」としか呼ばず、墓石にもそう刻んだと書かれていて、絶望的な気持ちになりました。ただ変な体に生まれただけ、それでこんなにも暴力を受け、実の親から死後にまで偽りのアイデンティティを刻み込まれるなんて…。