ゆいはん

母性のゆいはんのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
4.5
女子高生の遺体が発見され、発見者は母親だった。事件は自殺なのか、他殺なのか。娘を愛せない母・ルミ子(戸田恵梨香さん)、母から愛されたい娘・清佳(永野芽郁さん)。同じ時と出来事を回想しているのに、2人の話は食い違う。

戸田恵梨香さんファンのため鑑賞、原作は未読。鑑賞後にあまりにも原作気になり即購入した。

今までの戸田恵梨香さんの出演作でもかなり難しい作品だろうなとは思ってたけど、本人のインタビューでも「感情移入することは決してできない役どころ」との記載があった。母がすべてであり、娘を愛せない女性。そんな難しい役を見事に演じてくれ、とても見ごたえがある作品だった。

24歳から恐らく50代前後まで演じるわけだが、環境がガラリと変わったりするから、その年によって表情、佇まい、仕草もまるで違う。元々、戸田恵梨香さんの目のお芝居が魅力的で好きになったわけだが、今作ではそれが凄まじいほどに発揮され、目だけでここまで表現できるのかと圧倒された。さすがとしか言いようがない。

「観る世代によって感想が違う」と本人は言っていたが、まさにその通りだろうと。私自身は母親目線と娘目線で観ることができ、すごくいろいろなことを考えさせられた。さらに細かく言えば、女の子の母親か男の子の母親かでも、また感じることは違ってくると思う。

また、「おもしろいとか楽しかったという映画ではないと思う」と本人が言っているが、今の私が観たからおもしろかった。今の自分だからこそ、本当にものすごくいろいろと考えさせられる。むしろもう1度観たい。

開始して5分ほどに流れるタイトルロールと音楽で、一気に作品の世界観に入れるの演出が個人的にすごく気に入っているシーン。

義母役の高畑淳子さん、実母役の大地真央さんのお芝居はさすがすぎて素晴らしかった。母性というのもあり、今回の作品の焦点は母と娘。父親に対するコメントも結構見たが、この作品ではそこまで強く関わってこなくてもいいのかなと思う。

そして、永野芽郁さんのお芝居が予想以上によくて、今後がとても楽しみな女優さん。
ゆいはん

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