mamiKO

母性のmamiKOのネタバレレビュー・内容・結末

母性(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

映画館でずっと居心地の悪さを感じていた。この主人公は、私とは違う。私はここまででは無い。ずっと自分に言い聞かせたり言い訳したり、変な汗かいた。
私は自他ともに認めるマザコンであった。おそらく、あった。今は違う。
そう、この主人公は、マザーコンプレックス。病的な。治療が必要なレベルの。と思う。
のちに夫となる人が描いた薔薇の絵について、「母と感想が違うなんて、あってはならない事だった」みたいな場面があって、ぞっとした。私も同じように思っていたから。
母と感性がズレたり、私の考えに首を傾げられたりすると、焦った。
母に認められたい、共感されたい、母を喜ばせたい気持ちがとても強かった。何をするにも、母をすごく意識していた。母に認められる行動を可能な限り心がけていた。
母がこれを知ったら傷付くだろう。
主人公同様、母に押し付けられてしてきたことでは無かった。
私と主人公が違う点は子供を産んでから、だ。
つまり私には幸運にも「母性」があったのだろう。子供を産んだことにより、完全に私の見る世界は変わった。
分かりやすく、一番に守るべきものが変わった。(母から子供へ、ではない、自分から子供へ、だ)
私は母とは違う人間だと、ハッキリと自覚したし、その事を言葉にして言えるようになった。
母を客観的に見れるようになった。
良くも悪くも、母の受け入れられない面が見えるようになった。

話を映画に戻すと、予告で流しすぎだった、クライマックスの場面。

「愛してる」そう言って
『私は娘を強く抱きしめた』

『私は一瞬、母に抱きしめられるのかと思った(が、首を絞められた)』

という、証言(記憶)の食い違う場面。
あそこは強烈だった。
同じなのだろう。どちらだったとしても。
抱きしめることと首を絞めること。
抱きしめられることと、首を締められること。

愛情と憎しみの境界線が無い状態。
自分と娘との境界線が無い状態。
娘を憎むことは母を裏切ること。
母を裏切ることは自分の首を絞めること。
そして娘を愛する事は母を裏切ること、母からの愛を失う事と勘違いしていたのではないだろうか。

納得が行かないのは、女が[母]と[娘]の二種類だと言い切られたこと。
それは、原作者のかなり偏った考えと思う。

そして一番気になったのは火事のシーン。寝てたはずの大地真央さん、メイクバッチリで違和感。
そして、娘説得する為に、いきなり自分刺すかな?
孫死ぬ気で出してそれで下敷きに…とかなら分かるけど…

最後に高畑淳子さん、演技上手いし役もハマってたけど、他の役者さんとテンションが合ってなかった気がして、ひとり演技が大きいというか…もう少し控えめにした方が作品がまとまった気がした。
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